研究課題
本年度は、単一林分の最適伐採スケジュールに付随する情報(変数)を、ゾーニングに効率よく応用するための方策を検討した。前年度までに、焼きなまし法を応用した単一林分の最適伐採スケジュール探索手法の開発に取り組み、総当たり法に相当・あるいはそれを上回る信頼性を有する最適解を、GPUを用いて高速に得る手法を得た。しかしながら、地域・国スケールのゾーニングにおいては、無数の林分を扱う必要があり、開発手法を以てしても計算速度が不十分である。そのため、林分を少数のカテゴリーに分けるアプローチを考えてきたが、林分条件は多次元的であるため、このようなカテゴリー化の有効性は限られていた。そこで本年は、ニューラルネットワークを汎用関数近似器として、可能な限り少ない計算量で最適伐採スケジュールに付随する情報を近似する手法について検討した。補助金制度のもとでは、補助率を反復的に変更しながら収束計算を行う必要があり、その計算量が膨大である。そこで、ニューラルネットワークを用いることで、この計算量を低減させることができると考えた。特に高速化の効果が大きいと考えられた手法は、近似値同士をさらに計算して必要な変数を求める必要があるために、十分な近似ができない場合があることが分かった。その代替手法は、比較的高い計算コストと引き換えに、必要な変数を十分な精度で近似することができた。これらの成果より、現実の地域・国スケールのような無数の林分が存在する場合にも、最適伐採スケジュールの情報を直接的に用いることのできるゾーニング手法が明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Computers and Electronics in Agriculture
巻: 205 ページ: 107595~107595
10.1016/j.compag.2022.107595