研究課題/領域番号 |
19K15873
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
細川 奈々枝 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80821602)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 形態別リン |
研究実績の概要 |
昨年度までの予備試験の結果から、窒素無機化速度指標は利用性の低いリンとは有意な相関がないが、ピロリン酸可溶アルミニウムと有意な正の相関があることが明らかとなった。利用性の低いリン量はピロリン酸可溶アルミニウムと正の相関があったため、リンの利用性と窒素の利用性はともにピロリン酸可溶アルミニウムに影響を受け、複雑な相互作用の存在が示唆された。これを検証するため、活性アルミニウム量がより多い土壌で実験を行う計画を立てた。しかし、コロナパンデミックや申請者の異動により、検証に適した場所の選定が難航し、実験の進捗が停滞した。そこで、計画を変更し、これまで得られたサンプルを用いてリンの利用性に影響をおよぼす要因の詳細な解析を行った。土壌サンプルは、火山灰の土壌への混入量にばらつきがある流域のスギ林表層0-10, 10-20cmを用いた。土壌中の活性アルミニウムと逐次抽出法によるリン利用性の評価を行った。また、流域を対象とした場合、地質や標高、傾斜などの要因が、リンの賦存量や形態に影響すると予想される。そのため、地質図や地理情報空間システムを用いて、これらの情報を取得し、関係を解析した。その結果、地質帯によってリンの賦存量には違いがなく、標高の影響が大きいことと、傾斜の急な場所ほど土壌中のリンが増えることが明らかとなった。その上で、火山灰の土壌への混入量が増加すると利用しにくい形態のリンが増加することが明らかとなった。また、土壌pHなどの化学性がリン利用性に影響することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナパンデミックや申請者の異動により研究の進捗が遅れた。また、参加予定だった国際学会がコロナウィルスの影響によって再延期となった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度予定した活性アルミニウムがリンや窒素の利用性に与える影響解明のための土壌サンプリングや実験を引き続き実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナパンデミックや申請者の異動により研究が遅滞した。また、参加予定だった国際学会がコロナウィルスの影響によって再延期となった。昨年度実施できなかった計画の実施費用が必要。具体的には、リン利用性に影響する要因やリン利用性と窒素利用性の関係を明らかにするため、仮説検証に適した調査地の探索のための旅費支出や、実験を行うための機械整備や化学薬品等の購入費用を支出する。
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