• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

割り箸・ティーバッグ大規模分解実験と機械学習の併用による有機物分解速度の広域推定

研究課題

研究課題/領域番号 19K15879
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

森 大喜  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90749095)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードティーバッグ法 / 有機物分解 / 炭素循環
研究実績の概要

肥沃度の異なる2つの圃場において養分添加実験を行い, 土壌の肥沃度と養分(NPK肥料)および炭素(グルタチオン)添加がルイボスティー分解率に及ぼす影響を明らかにした。富栄養土壌でルイボスティーの分解が速かった一方, 養分添加による分解促進は観察されなかった。炭素添加によって分解が促進されたことから, 富栄養土壌での速い分解は, 植物の成長促進を通じた土壌への炭素添加量増加に起因すると推察された。本成果は, 養分添加によってリター分解速度が促進されるとする従来の見解に新たな解釈を提供した。すなわち, 従来の研究結果は養分添加による植物成長とそれに伴う炭素添加量増加を介した間接的な影響である可能性を提示した。加えて, リプトン社によってティーバッグのメッシュサイズが変更されてしまったため, メッシュサイズがティーバッグ法に及ぼす影響についても検討した。ティーバッグ法では, 長期的な炭素貯蓄機能の指標であるstabilization factor (S)と初期分解速度の指標であるdecomposition constant (k)を2種類のティーバッグ(ルイボス茶と緑茶)を用いて計算する。メッシュサイズが変更されたティーバッグを用いて求めたこれらの指標を、実際にティーバッグ分解の経時変化データから正確に求めた値と比較したところ, S, kともに過小評価されていることが明らかになった。一方, 昨年度の結果において, メッシュサイズ変更前後で2種類のティーバッグともに分解率自体はほとんど変化しなかったことから, メッシュサイズ変更前(すなわちオリジナルのティーバッグ法)においても計算手法が不適である可能性があると考えられた。これを確認するため, 現在追加検証を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響でフィールド調査が遅れている。特に、1年間フィールドに設置する必要がある割り箸分解データの取得が遅れている。一方、県内のフィールドで行った施肥実験では、ティーバッグ分解速度に及ぼす土壌養分の影響について、当初の計画を超えた成果を産み出すこともできた。そのため、全体として「(3)やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

気候変動による土壌有機物分解の影響を評価するため、リター分解の標準法であるティーバッグ法の問題点を明らかにし、分解速度予測モデルの精度を高める修正法を作成する。また、これまで取得したティーバッグ分解データをとりまとめ、環境データで予測する機械学習モデルを作成する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響でフィールド調査を行うことが困難であったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Risk of misinterpreting the Tea Bag Index: Field observations and a random simulation2022

    • 著者名/発表者名
      Mori Taiki、Nakamura Ryosuke、Aoyagi Ryota
    • 雑誌名

      Ecological Research

      巻: 37 ページ: 381-389

    • DOI

      10.1111/1440-1703.12304

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tea Bags-Standard Materials for Testing Impacts of Nitrogen Addition on Litter Decomposition in Aquatic Ecosystems?2021

    • 著者名/発表者名
      Mori Taiki
    • 雑誌名

      Nitrogen

      巻: 2 ページ: 259~267

    • DOI

      10.3390/nitrogen2020017

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ティーバッグ法による有機物分解速度推定は妥当なのか?2022

    • 著者名/発表者名
      森大喜
    • 学会等名
      日本森林学会大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi