研究課題/領域番号 |
19K15883
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
落合 陽 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90822346)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 割裂 / 製材 / 木材 / ドリフトピン / 鋼板挿入 / 耐力推定法 / 設計法 |
研究実績の概要 |
本研究は、木材の割裂破壊耐力の推定法を提案することを目的とした研究である。木材における割裂破壊は、実際の建築物においては木造建築で一般的な接合部である鋼板挿入ドリフトピン接合部が地震時に軸力を負担した時に生じることがある。研究計画の概要は、①単一のドリフトピンによる鋼板挿入ドリフトピン接合部における割裂耐力推定法の提案とその検証と②接合部のドリフトピンが複数本となった場合の割裂耐力推定法の提案である。 2020年度は、②接合部のドリフトピンが複数本となった場合の割裂耐力推定法の提案について実験を実施した。すなわち、接合具間距離をパラメータに様々なケースでの木材の割裂破壊についてどのような強度の変化が起きるのかを約150体の試験体について実験を行い、検証している。現行の設計規準や既往研究などを参考に、接合具径間距離が極端に短い場合には割裂破壊の励起が進むなど、ある程度予想された結果が得られたものの、現在、スギ1樹種についてのみ実験を行っているため、エビデンスがやや不足していると考えている。そのため、次年度はヒノキ等の他樹種での実験も実施し、比較検証する予定である。本実験は現在データ整理し、分析をしている段階であり、まだ具体的な理論展開には至っていないので、次年度に精査をする予定である。 また2019年度までに実施した研究成果も含めて、WCTE2021(World Conference on Timber Engineering 2021)、及び2021年度日本建築学会大会にて研究成果を発表予定である。既に発表はAcceptの通知があり、発表要旨及びFull Paperを提出している。本来の予定であれば、本課題の研究成果の一部は2020年度にチリで開催予定であったWCTE2020等で発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期し、WCTE2021となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の計画の概要は、①単一のドリフトピンによる鋼板挿入ドリフトピン接合部における割裂耐力推定法の提案とその検証と②接合部のドリフトピンが複数本となった場合の割裂耐力推定法の提案である。本研究はそれぞれのトピックについて1年ずつを目安に研究を行う予定であった。2020年度は②の計画ついて進める予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で、大学や試験場への立ち入りが制限されていたこともあり、実施予定の実験の約50%程度の進捗となった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は2020年度に実施できなかった他樹種を用いた実験を実施し、更なる検証を行う予定である。本研究成果は上述の通りWCTE2021及び2021年度日本建築学会大会で発表予定である。更に論文として投稿予定であり、現在データを整理するなどして準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響でチリで開催予定であったWCTE2020が延期となったため、学会参加のための参加費や旅費を使用しなかった。WCTE2020は2021年度に延期開催されるが、既にオンライン開催となっている。その費用を論文投稿費用や追加試験体の費用に充当する予定であり、下記のように執行する予定である。 WCTE参加費10万円、論文投稿経費15万円、追加試験費用50万円
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