研究課題
令和元年度までに、主に近赤外ハイパースペクトル空間分解分光計測システムの設計・開発を行った。木材中、光がどのように吸収散乱されているかを把握するため、木材の3次元モデルに照射した光の伝播経路をモンテカルロ法でシミュレーションを行った。その結果、同じ針葉樹もしくは広葉樹でも、樹種によって光伝播経路の違いを確認できた。その後、名古屋大学において可視-近赤外スペクトラルイメージングカメラ、光ファイバおよびハロゲン光源を主たる構成要素とする分光イメージングユニットを設計・試作した。樹種判別のデモンストレーションとして15種類の木材試料を測定した結果、各サンプル特有の検出信号の変化が見られた。また、含水率、繊維走行、密度などの違いによって空間分解分光信号の変化も確認できた。今年度は試作した空間分解分光計測システムにより、樹種判別実験の継続と複数材質の非破壊評価を行った。試料中での光の散乱特性に着目して木材の含水率、繊維走行及び引張ひずみなどの予測モデルの構築を試みた。これにより、複数樹種の含水率を測定できる予測モデルを作成でき、従来の分光法より予測精度の向上を実現できた。また、同じ空間分解分光法による木材引張ひずみの測定可能性も見出した。さらに、国際共同研究にもつなげて、本手法による果物の硬度を非破壊かつ高精度での測定可能性を見出した。これらの成果を国内学会(第71日本木材学会)で二度、二件国際ジャーナルへの論文投稿(Holzforschung, Postharvest Biology and Technology)を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Postharvest Biology and Technology
巻: 173 ページ: 111417~111417
10.1016/j.postharvbio.2020.111417
Holzforschung
巻: 75 ページ: 419~427
10.1515/hf-2020-0074