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2019 年度 実施状況報告書

海洋植物プランクトンの多種共存が生態系機能に与える影響の実験的解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K15895
研究機関京都大学

研究代表者

遠藤 寿  京都大学, 化学研究所, 助教 (80795055)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード海洋生態 / 植物プランクトン / 生物多様性 / 共起ネットワーク / 生態系機能
研究実績の概要

海洋植物プランクトンは、形態や生理機能が異なる多様な種が同一環境に共存することで、高い多様性を維持している。しかし、この多種共存が生態系に対しどのような意味を持つのかについては知見が乏しい。本研究は、植物プランクトンの多種共存が群集の多機能性と生産力に与える効果を定量化し、多様性の生態学的意義を明らかにすることを目的とする。過去の観測で得られた群集データをもとに合理的な疑似群集を設計し、培養実験によって人為的に多様性を創出することでその定量化を試みる。
2019年度は、混合培養実験に用いる植物プランクトンの現場環境からの単離と、過去の群集データに基づく共存可能性の推定を主目的とした。5月から6月にかけて高知県の浦ノ内湾で現場観測を実施し、植物プランクトンの大増殖(ブルーム)発生時と非発生時における微生物群集の生物量や群集構造、化学的環境パラメータの観測をおこなった。同観測に関しては、高知大学ならびに高知県水産試験場の協力のもと期待していた成果を得ることができた。また、同調査中に20株の植物プランクトンを単離培養することに成功した。さらに、同湾において2017-2018年にかけて取得された植物プランクトン群集の定点観測データを用いて共起ネットワーク解析をおこなった結果、環境中における複数の共存グループの存在が浮き彫りとなった。また、本研究の遂行に必要な培地作成用海水の調達および分析機器の利用に関して、筑波大学、福井県立大学、国立環境研究所との協力体制を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度に計画していた高知県浦ノ内湾における海洋観測と植物プランクトンの単離を遂行した。並行して、DNAメタバーコーディングによって得られた過去の群集データをもとに、植物プランクトン間の共起関係を評価した。現在は植物プランクトン培養条件の最適化、および培養実験のデザインを検討中である。単離株の培養実験による各藻類の形質パラメータの測定については当初の計画よりやや遅れているが、次年度に予定していた試料分析手法の整備を前倒しで進めたため、全体としてはおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

単離した藻類に対してDNAマーカーに基づく詳細な系統分類を行う予定である。取得した配列情報を群集構造解析の結果と照合することで、塩基配列情報をもとに単離株と共存クラスターとを紐付けし、混合培養に用いる生物中の選定をおこなう。選定された植物プランクトン種に対して全ゲノムシーケンス解析を実施し、ついで増殖活性や生理機能を評価するための培養実験へと移行する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Spatial variations in community structure of haptophytes across the Kuroshio front in the Tokara Strait2019

    • 著者名/発表者名
      Endo H, and Suzuki K
    • 雑誌名

      AGU Geophysical Monograph Series

      巻: - ページ: 207-221

    • DOI

      10.1002/9781119428428.ch13

    • 査読あり
  • [学会発表] 大規模観測とメタゲノム解析による海洋微生物の多様性研究2019

    • 著者名/発表者名
      遠藤寿
    • 学会等名
      メタオミクスワークショップ in 京都 2019
    • 招待講演
  • [学会発表] メタゲノミクスを用いた大規模海洋調査2019

    • 著者名/発表者名
      遠藤寿
    • 学会等名
      京都化学者クラブ
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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