研究課題/領域番号 |
19K15900
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
萩原 聖士 東京大学, 大気海洋研究所, 特任講師 (80704501)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウナギ / 銀化 / 産卵回遊 / 降海回遊 / 性成熟 / 春機発動 / 意思決定機構 / 個体差 |
研究成果の概要 |
自然環境を模した大型野外実験池における放流実験により、秋に銀化するウナギと銀化しないウナギが夏季の時点でどのような生殖生理学的特徴を持っているのか調べた。その結果、秋に銀化して回遊開始するウナギは、初夏の時点で春機発動が生じていることが明らかになった。 次に、夏季に雌ウナギを採集して分析を行ったところ、銀化予定個体は残留予定個体に比べて肥満度が高く、筋肉中の脂質含有量も有意に高い値を示した。卵巣の組織観察により、銀化予定個体は卵母細胞中に油球蓄積して卵形成を進行させている様子が窺えた。また、銀化予定個体の血中11ケトテストステロン (11-KT量)は、残留予定個体に比べて有意に高い値だった。
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自由記述の分野 |
生理生態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
回遊を開始する体サイズと年齢は個体変異に富み、どんな生態学的条件を満たした個体が、どのような生理学的プロセスを経て、春機発動・銀化・回遊開始に至るかは明らかでない。これを解明すれば、ウナギの生殖生理と回遊現象の理解を大きく深めることができる。 本研究の結果から、秋に銀化して回遊開始するウナギは、少なくとも初夏の時点で春機発動が生じている個体と考えられた。これは、銀化などの回遊関連の形態的・生理的変化は水温が低下する秋に生じるという従来の常識を覆すものである。 春機発動と銀化の生理生態学的機構が明らかになれば、人為催熟技術の改善に資する有用な知見にもなり得る。
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