サンゴの持つ蛍光色(蛍光タンパクや色素タンパク)には、紫外線吸収阻害効果をもつ可能性や、抗酸化剤としての機能や代謝機能との関連が示唆されている他、プラヌラ幼生の段階では褐虫藻の誘引や着底とも関わると言われている。また経験的に、蛍光色の強いサンゴは高水温時の生存率が比較的高いとも言われている。 先行研究でサンゴの高水温耐性には緯度変化がみられ、母方遺伝の影響が強い可能性が示唆されている。しかし白化の程度や生存率の違いには同所的な違いも見られる。同所的なサンゴ群体間は、親の蛍光色の違いによって子の高水温耐性に違いが見られるのかを検証するため、褐虫藻に感染する前のウスエダミドリイシAcropora tenuisのプラヌラ幼生を27℃、30℃、33℃の各水温条件に晒し、その生存率を比較することで、サンゴ幼生自体の高水温耐性を確認した。 群体や枝先の色味が異なるウスエダミドリイシ6群体の産卵時に、卵と精子を分離し、人為的に掛け合わせた。プラヌラ幼生は褐虫藻の感染なしで、計測及び水換え時以外は、暗黒条件下に置いて飼育した。 各掛け合わせごとに30匹から90匹ずつの幼生を使用し、7日後までの生存率を比較した。 水温33℃条件下では掛け合わせ間で生存率に有意に違いが見られた。実験中のプラヌラ幼生は遺伝子発現を比較するため液体窒素を用いて固定し、RNAを抽出した。 当該年度はRNA-seqで得られたデータを解析し、論文出版のためまとめている。
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