令和元年度は、本研究の基礎であるカキ類稚貝の着底基質の設計と、稚貝の付着までを実施した。 まず、研究計画①および③の検討を行うため、3Dプリンタを用いて、文字サイズ(7.5、5、2.5mm)、文字の高さ(0.75、0.5、0.25mm)について、それぞれ凹型および凸型の計18種を作製した。この型を用いて石炭灰レンガの表面に押し当てて転写を行い、焼成後に表面の刻印が視認可能かどうかを調べた結果、凸型により凹型の刻印を施した9種のうち、文字サイズ2.5mm、文字の高さ0.25mmの場合のみ視認が困難であり、残り8種については視認可能であった。凹型により凸型の刻印を施した9種のうち、文字が視認可能であったのは、文字サイズ7.5mmおよび5mmの文字の高さ0.5mmおよび0.25mmの4種のみであった。これらのことから、セラミック材料に表面刻印する際には、凹型に比べ凸型を用いた場合の方が、幅広い大きさで視認可能な表面刻印を施せることが明らかになった。このほか、道総研のロゴを図柄として凹型および凸型を作製し、セラミックへの転写を試みたが、視認可能な刻印は施せなかった。試験的に得られたセラミック材料のうち、表面刻印が視認可能な13種(計35枚)については、表面にイワガキの稚貝を付着させ、2020年度以降、十分に成長した後、剥離して刻印の転写状況を確認する予定である。 次に研究計画②、③および④の検討を行うため、3Dプリンタを用いて、樹脂製の着底基質20種を成形した。これらには、文字高さ検討(0.2-1mm:5段階)、文字種(アルファベット、漢字)、ロゴ、およびそれらの型上に2次的にセメント等被覆したものが含まれる。これら計22枚の着底基質についても、前述のセラミック材料と同様にイワガキ稚貝を付着させ、令和2年度以降転写状況を確認する予定である。
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