小型の甲殻類であるカイアシ類が保持する多価不飽和脂肪酸(PUFA)の合成能を解析することで、カイアシ類がPUFAの一次生産者として機能し得るかを検討した。PUFAの中にはエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)など多くの動物にとって生理学的に必須な栄養素も含まれるが、EPAやDHAは現状そのほぼ全てが海洋由来である。従って、海洋におけるこれら栄養素の生産過程について明らかにすることは重要である。本研究では、カイアシ類の中でも特定の種において、EPAやDHAを含む様々なPUFAの高い合成能が確認され、一部のカイアシ種は海洋においてPUFAの生産者となり得ることが示された。
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