研究実績の概要 |
トラフグ属魚類は雌と雄で主要な毒蓄積器官が異なることが知られている。また、同属魚類に属するトラフグは成長、成熟段階によっても、主要な毒蓄積器官が変動する。そのため、各段階の個体を雌雄別に手に入れ実験に用いることが望ましい。本年度は、自然海域から漁獲した雌個体(2,200-2,600 g)および雄個体(2,100-2,350 g)を入手し、これらの血液を採取した。採取した血液は遠心分離を行い、その後得られた上清を-30℃で保存した。加えて、成長段階の異なるトラフグの養殖個体からも血液を採取し、上述した個体と同様の操作で上清を得て-30℃で保存した。 トラフグ属魚類における主要な毒蓄積器官の相違は、前述の条件に加えて種による差異も存在する。そのため、トラフグ属魚類に属する他種(マフグ、ヒガンフグ、アカメフグ、ヒガンフグ、ナシフグ、コモンフグ)を入手し、トラフグと同様の操作で血液から遠心分離後の上清を得て-30℃で保存した。これらのフグはトラフグでは毒が蓄積されない皮や精巣にも毒を蓄積するため、トラフグの対照として適した種である。毒の蓄積量については、摘出した皮、筋肉、肝臓、生殖腺由来の抽出液を調製し、当該液に含まれる毒の濃度を蛍光検出器を備えた高速液体クロマトグラフにて測定した。 取得したフグ毒結合タンパク質PSTBPの抗原を基に、抗体の作製を外注した。外注先から抗血清が届いたため、あとは当該溶液を精製することでウエスタンブロット法に使用できる抗体の準備が済む予定である。
|