本研究の問いはインドネシア・ジャワ島の小規模経営農家にとって契約栽培は持続可能な市場参加形態なのかである。2019年度に実施した聞き取り調査の結果を理論的に分析した。その結果として、伝統的な卸売流通の価格水準が高騰していることが契約栽培の持続性を毀損していること、他方で共同体メカニズムによる履行強制等により、抜売に見られる契約栽培のホールドアップ問題の回避に寄与していることを明らかにした。また、フィリピンとの国際比較を試み、共同体メカニズムに注目する重要性を明らかにした。さらに、持続可能な農業発展の観点から実施した定量分析では、伝統的流通に視座を広げる重要性が示唆された。
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