研究課題/領域番号 |
19K15921
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
張 采瑜 駿河台大学, 経済経営学部, 准教授 (00612970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 台湾 / 農地集積 / 農地流動化 / パネルデータ / 社会関係資本 / 空間計量分析 / 契約栽培 / 直接支払い |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、経済発展が進むアジア諸国においてどのように農業部門の構造調整を進めるかについて、アジアにおいて先進国段階にある日本や台湾などの経験から明らかにすることである。今年度は主に以下のような研究を行った。 (1)台湾における農地貸借について、集落レベルの個票データを用いた空間計量分析を行い、農地流動化要因を分析し、国際学会(International Conference of Agricultural Economists)で発表した。また、社会関係資本が台湾の農地取引への影響に着目し、共同管理資源としての灌漑組織への加入のデータおよび、最も広く分布している市民社会組織である宗教団体の村のレベルのデータを追加的に得て、パネルデータを構築したうえ、空間計量分析の手法で農地集積の要因分析を行った。分析した結果、台湾でも日本と同様に社会関係資本が農地集積の要因であることが明らかになったが、近年では時間経過とともに効果が低下してきた可能性があることがわかった。該当研究は国際学術誌Letters in Spatial and Resource Sciences(Springer)に掲載された。 (2)台湾における農地流動化に対する農業政策の影響分析について、稲作の契約栽培の集団経営(稲作産銷専区)の促進政策に着目し、集落レベルの個票データで構築されたパネルデータを用いて計量経済の手法により農地集積の政策的な要因を分析している。関連分析の結果をThe 10th ASAE(Asian Society of Agricultural Economists) International Conferenceで報告した。 (3)直接支払い政策はアジアにおいて広く取り入れられている。その政策概念の導入過程および政策過程を含む時系列的な研究をし、さらに事例研究を使って台湾における導入の結果を分析した。国際学会The 10th ASAE(Asian Society of Agricultural Economists) International Conferenceで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾の農地集積に関する研究は既存データを利用する分析は予定通りに進捗し、論文が掲載されている。また、台湾の農地貸借についても、前年度整理したデータを利用して定量的な分析を計画通りに進展している。したがって今年度は概ね順調に進展していると言える。 ただし、新型コロナウイルス感染症の影響によって、昨年度と今年度と続いて海外の現地調査を行えず、海外の協力者との打ち合わせもできなかった。そのため、延期していた海外の現地フィールドワークを行う時期は再延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
海外の現地調査が困難であった研究については、極力今年度で再開し、研究の完成を目指したい。 既に学会発表された研究は国際学術誌の掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた海外の現地調査の打ち合わせ、フィールドワーク、アンケート調査などすべてコロナ禍により実行できなかったため、旅費、人件費、謝金の支出がないので次年度使用額が発生した。 コロナによる海外渡航の制約が収まることで次年度から現地調査に関する計画を再開したい。
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