研究課題/領域番号 |
19K15921
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
張 采瑜 共立女子大学, ビジネス学部, 准教授 (00612970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 台湾 / 農地集積 / 農地流動化 / 食品安全 |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、経済発展が進むアジア諸国においてどのように農業部門の構造調整を進めるかについて、アジアにおいて先進国段階にある日本や台湾などの経験から明らかにすることである。今年度は主に以下のような研究を行った。(1)台湾の輸入規制および食品安全とリスクコミュニケーションと関連する調査の分析を行った。分析結果は、国際学術誌に論文を投稿中である。(2)農地の集積について、台湾の集落レベルの個票データを用いた計量分析を行い、前年度の対面調査の結果で得られた追加の資料とともに論文を国際学術誌(Paddy and Water Environment、2024年1月号)に発表した。得られた結論は以下の通りである。台湾政府はコメ産業の構造調整の一環として、2005年に稲作専区(コメ生産・販売特区;SRPMZ)を導入した。本研究では、SRPMZが農地流動化に及ぼす影響を明らかにし、農地集約の実現における集団営農支援政策の役割を明らかにした。本研究では、台湾におけるSRPMZ政策の効果を推定するために、差分法を用いている。その結果、SRPMZの指定によって、村ごとの借地農地面積は13.5ha増加し、全作業委託の農地面積は4.86ha減少することがわかった。SRPMZ政策について、農家の生産性やSRPMZ運営者の効率性に焦点を当てた研究はいくつかあるが、SRPMZ政策が農地利用に与える影響を分析した研究はほとんどなかったため、本研究で実証で明らかになった。分析の結果から、生産からマーケティングまで支援するこのような集団営農の支援策は、農地貸借と相まって、農地の集約化を促進し、農業構造を改善できることが示された。このような政策は経済発展が進むアジア諸国における農業構造調整政策の参考になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾の農地集積に関する研究は既存データを利用する分析を終え、学術論文にも掲載されたため概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ後、学会活動が再開されたため、進行中の研究を学会の発表を通じてさらに意見を取り入れることができると見込まれる。また、既に論文の草稿が完成している研究については、学会などにおける意見交換を行うことができる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより、参加を予定していた国際学会が延期していたため、予算の実行はできなかった。今年度の利用計画として、再開された国際学会および国内研究会の打ち合わせに参加する。そのために発生する旅費や参加費に対して研究費を使う予定である。
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