研究課題/領域番号 |
19K15930
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宮井 浩志 山口大学, 経済学部, 准教授 (10620908)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 企業主導 / ローカルスーパー / インショップ / 産直 / 消費者評価 / 地産X消 |
研究実績の概要 |
2020年度は、K社が主導する産直流通のネットワーク「すきとく市」に参画するプレイヤーで小売企業・出荷農家・集出荷団体に対してそれぞれ聞き取り調査を実施し、各主体の取り組みから「企業主導による産直流通ネットワーク化」の成立要因の解明と持続可能性について検討をおこなう予定であった。しかし、2020年度の新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的感染拡大によって、事例地に出張してのヒアリング調査は困難となったことで研究計画を変更し、企業主導によるインショップ型産直を最終利用者たる消費者がどのように評価しているかについて、①過去のデータを用いた検討から予備的研究をおこない、②その分析結果を利用してコロナ禍でも可能なwebアンケート調査の実施を念頭にした研究計画の再検討をおこなった。 まず未整理であった2015年に実施したK社主導のすきとく市利用者に対する対面アンケート調査の結果について、地域流通の研究に詳しい研究協力者らと数回の研究会を開き、調査結果の整理と定量的検討をおこなった。その分析結果については、「企業主導によるインショップ型産直の 消費者評価に関する研究:すきとく市を事例とした都市と地方による比較検討」として日本消費経済学会関西部会(2020年4月)、および日本消費経済学会第45回全国大会(2020年8月)においてそれぞれ研究発表をおこなった。また、同学会での質疑応答の成果も踏まえた上でそれら研究成果を学術論文としてまとめ、同学会誌に投稿をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、産直流通のネットワークに参画する小売企業・出荷農家・集出荷団体に対してそれぞれ聞き取り調査を実施し、各主体の取り組みから「企業主導による産直流通ネットワーク化ネットワーク」の成立要因の解明と持続可能性について検討をおこなう予定であった。ところが、2020年初頭以降のCOVID-19感染拡大の影響、特に緊急事態宣言(4月~5月)とその後の流行の第二波(7月~9月)によって上半期の県外調査は全てキャンセルとなった。また2回目の緊急事態宣言(2021年1月~3月)によって下半期の調査も困難となったことで、2020年度に計画されていた研究についてはほとんど達成することができなかった。 その一方で、余剰したエフォートを使ってこれまでの調査結果、研究成果について整理をおこなったことで2回の国内学会発表と査読付学会誌への論文投稿をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末の研究計画の変更を受けて、本研究は企業主導によるインショップ型産直のネットワーク化の代表的先進事例と考えられる徳島県K社すきとく市に焦点を絞ることとなった。すきとく市のネットワーク上のプレイヤーは、川上側から生産者、集出荷組織、小売業者(ネット―ワーク化を主導するK社と関西圏の各チェーン)、消費者らが存在するが、2021年度当初に三度目の緊急事態宣言が出され、また本研究の事例地でもある関西圏を中心にCOVID-19の変異株による感染拡大が起こっていることから、小売業者および消費者への対面調査は引き続き困難であることが予測される。よって、上半期は感染拡大の影響が小さい産地サイドの主体への調査とwebアンケート調査を通じた消費者調査を企画しつつ、年度後半に調査を実施することで可能な限りCOVID-19感染拡大化においても研究の進捗を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は二度の緊急事態宣言を伴うCOVID-19の感染拡大が断続的に続いたことによって、予定されていた対面調査についてほぼ全てキャンセルとなった。またそれによって余剰が生じたエフォートを活用して進めた研究成果の2度の学会発表についても、うち1回はリモート開催となるなど予算執行の必要なイベントがほぼ発生しなかったことで予算的にも大幅な余剰が生じることとなった。 2021年度もCOVID-19の感染拡大が予想されることから、2022年度に予定していたインショップ型産直を利用する消費者への対面調査も繰り越した使用額を利用してweb調査に切り替えることなども検討しつつ、2022年度への期間延長を含め研究計画と仕様計画の見直しをおこないながらこれまでに積み残した研究についても可能な限り進める予定である。
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