2023年度は新型コロナの5類移行に伴い、これまでのコロナ禍で変更せざるをえなかった研究計画を遂行しつつ、当初の研究計画に沿った研究を可能な限り遂行することを試みた。 まず変更した研究計画に沿った研究に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大を企業主導による産直流通ネットワーク化を実証する契機と捉えた「すきとく市」利用者に対する2021年12月実施の消費者webアンケート調査について、2023年度は流通論研究者との意見交換を踏まえつつ引き続き定量分析を進めた。これらの研究成果は日本企業経営学会の第64回研究大会東京大会(於:拓殖大学)において、「COVID-19 感染拡大下における産直流通の消費者評価-インショップ型産直「すきとく市」利用者を事例として-」と題して、研究発表を行った。同大会では大手にない独自の経営戦略で注目を集める在京ローカルチェーンスーパーのサカガミ関係者による基調講演を始め、小売流通関連の研究3本のセッション発表と質疑が行われた。これに合わせて上記研究代表者の研究発表をしたことで、物流・流通・消費各分野の専門家らと活発な議論をおこなうことができ、一定の評価とともに研究成果をまとめる上での大きな示唆を得た。特にコロナ禍で大きく変化した生鮮食品流通において、ローカルチェーンスーパーが産直を主導したり、それらをネットワーク化したりすること(すなわち本研究課題)の意義と重要性があらためて再確認された。 また、新型コロナの5類移行を受けて前年度まで実施が非常に困難であった「すきとく市」に取り組む徳島県外の在阪ローカルチェーンT社、更にすきとく市のライバルと目される有力在阪ローカルチェーンの産直市の現地調査と視察、また同社とネットワークを形成していた自治体へのヒアリング調査などを行うことができた。
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