| 研究課題/領域番号 |
19K15940
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| 研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
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研究代表者 |
小嶋 創 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (80803064)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | ため池 / 洪水調節 / 水管理 |
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| 研究実績の概要 |
昨今のゲリラ豪雨の頻発等を背景として，農業用ため池が雨水を一時的に貯留し，下流域に流出する洪水流量を低減する機能が注目されている．本研究では，ため池管理者が下流域の洪水流量低減を目的として豪雨時に行う水管理操作（ゲート開閉等）の実態を解明し，当該操作が下流域の洪水リスクを低減する機能の評価を目指す．
香川県内の2箇所の小規模ため池（A池・B池；ともに貯水量約3千m3）については，2018年の梅雨および台風による豪雨時おける貯水位データの分析結果をとりまとめた．両ため池では，前線による豪雨では降雨の最中から直後に，台風による豪雨では降雨前または台風通過翌日以降に，それぞれ管理者による取水孔からの放流が行われたと考えられた．台風による豪雨では，進路予報等を参考に危険を伴う時間帯を避けて水管理が行われたことが示唆された．一方，前線による豪雨では，降雨のピークや降り始め，降り終わりの時刻を事前に予測することは難しいため，管理者らは，逐次貯水位を確認して放流のタイミングを決定せざるを得ず，その結果，降雨の最中や直後の水管理実施に至ったと考えられる．
同じく香川県内の大規模ため池（O池；貯水量約85万m3）では，昨年度設置した水位計で貯水位データを取得した．また，気象警報・注意報が発令された梅雨時期の降雨イベント（計3回）直後にため池管理者に対する聞取りを行い，降雨時前後のゲート操作等の実施状況を調べた．O池では，灌漑用水の確保のみならず，貯水池への土砂等の流入防止や接続水路の溢水防止を考慮の上，経験に基づく方法で貯水池への流入量を制御する水管理（ゲート操作）が行われ，複数回の降雨イベントで流入河川の洪水が貯水池に導水されていた．今年度の観測降雨イベントの確率年は1年程度であったが，より規模の大きな豪雨に対しても同様な水管理が行われる場合には，一時貯留による洪水調節効果の発揮が想定される．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小規模ため池（A池・B池）については，過年度の貯水位変動データに基づき，降雨イベント毎に水管理実施のタイミングが異なる要因について考察した．本成果は学術雑誌の短報としてとりまとめ，採択済みである．大規模ため池（O池）については，貯水位観測および管理者への聞取りによるデータ収集体制を整え，複数回の降雨イベントについて水管理の実施状況を把握することができた．本成果は次年度学会発表の予定（投稿済み）であり，また，貯水位観測データと併せた詳細な考察を今後実施する予定である．
A池・B池では，梅雨時の豪雨と台風による豪雨では水管理の実施タイミングが異なっていた．O池においても，台風による豪雨では，今年度対象とした梅雨時の豪雨とは異なる水管理が行われる可能性がある．また，今年度観測された降雨イベントの規模は確立年1年程度である．台風による豪雨や，さらに規模の大きな降雨イベントにおけるデータの収集・分析が課題として残された．
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き，O池での貯水池および周辺水路での水位観測を実施するとともに，豪雨時前後の水管理実施状況について管理者への聞取りを行い，特に本年度観測できなかった台風時の豪雨を含めより多くの降雨イベントに対してデータの収集を行う．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で発表予定であった学会講演会等が中止またはオンライン開催となり，出張旅費を要さなくなったため．これらによる余剰分は次年度に繰り越し，観測データの分析等に要する人件費や，研究成果公表に係る経費・出張費等に充当する．
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