研究課題
若手研究
本研究では、ニホンジカにとって識別することのできる色の組み合わせ、および識別することのできない色の組み合わせを明らかにした。識別できない色の組み合わせはヒトの1型2色覚の色覚特性に類似しているものの、完全には一致しなかった。薄明期の試験では明期と比較して、色を識別することができなかった。また、学習を繰り返すことで色識別能は向上することが示唆された。しかし、色の視認性が採食や飲水といった基本的な行動とは結び付かず、色そのものに誘因性は認められなかった。
動物生理・行動
全国的に野生鳥獣による農作物被害が深刻化しており、その対策の1つとして有彩色の光や赤外線を利用したシカの忌避装置が利用されている。本研究結果はシカにとって視認性の良い色の組合わせを明らかにした。シカの色覚特性を解明することによって、今後より有効な忌避対策の開発に貢献できる。