本研究は組織幹細胞という新しい視点を通じてウシの消化機能の根底を担うルーメン組織の成り立ちに迫る初の試みであった。ウシ消化管におけるこのような細胞群の特定は、栄養獲得に重要な消化管の成り立ちに迫る知見であると同時に、研究が開始の途についた非モデル生物における組織幹細胞研究に貢献するものであったと言える。また、作製したルーメン幹細胞の培養技術は、飼料開発における機能性・毒性のプレスクリーニングに容易に応用ができると考えられ、開発過程を効率化する新たな手段として期待される。In vitro実験技術の進展は動物実験の削減につながり、アニマルウェルフェアを考慮した畜産技術の開発への貢献が期待される。
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