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2019 年度 実施状況報告書

哺乳類の生殖を制御するGnRHの分泌リズム形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K15961
研究機関東京大学

研究代表者

村田 健  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (30749643)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードGnRH / キスペプチン / 性周期 / GnRHパルスジェネレーター / GnRHサージジェネレーター
研究実績の概要

哺乳類の生殖は【視床下部(性腺刺激ホルモン放出ホルモン:GnRH)→下垂体(黄体形成ホルモン:LH)→性腺】の軸により制御される。GnRH/LHの分泌様式には、性周期により1時間から数時間の頻度で変動するパルス状分泌と排卵を誘起する長時間持続するサージ状分泌がある。それぞれを制御する神経群を、GnRHパルスジェネレーター、GnRHサージジェネレーターと呼ぶ。GnRHの分泌を促進する神経ペプチド、キスペプチンを産生する視床下部弓状核(ARC)、前腹側脳室周囲核(AVPV)のキスペプチン神経群が、それぞれパルスジェネレーター、サージジェネレーターの有力な候補である。本研究ではこれらの神経の活動記録、シナプス前神経の同定、操作により、各ジェネレーターの神経機構の解明を目的とする。
本年度は、変異型の狂犬病ウイルスを用いた逆行性トレーシングと、脳の透明化イメージングにより、ARCキスペプチン神経のシナプス前神経の網羅的な同定を行なった。このうち、室傍核の神経については、脳切片の各種マーカー遺伝子のISHと組み合わせることで、バソプレシン神経であることが示唆された。
AVPVキスペプチン神経や、GnRH神経のイメージングを試みたが、これらにカルシウムセンサータンパク質GCaMPを十分に発現させることができなかった。おそらく、ベクターとして用いたAAVのセロタイプが合わなかったためと考えられる。
そこで、AAVをラボで自作する系を確立することとした。種々の条件検討により、アフィニティークロマトグラフィーにを用いて数時間で精製することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

変異型の狂犬病ウイルスを用いた逆行性トレーシングの解析を、共同研究により脳の透明化技術を用いて全脳で解析できた点は、当初の予定よりも進んだ点である。
一方で、AVPVキスペプチン神経や、GnRH神経にGCaMPを発現させることがうまくいかなかったのは想定外であり、予定よりも遅れている。これに関しては、AAVをラボで自作することで対応を試みた。
以上より、総合的には順調に進んでいると判断した。

今後の研究の推進方策

種々のセロタイプのAAVや、最新のカルシウムセンサータンパク質をコードしたAAVの作製をすることで、AVPVキスペプチン神経やGnRH神経の活動記録を実現する。
さらに、トレーシングで明らかとなったシナプス前神経の操作と、キスペプチン神経のイメージングの組み合わせにより、パルスジェネレーター、サージジェネレーターの神経機構に関する知見を得る。

次年度使用額が生じた理由

前年度までは、既存の試薬、ウイルスを用いた条件検討的な実験が多くなり、次年度に必要な試薬、ウイルス作製費用が多くなるため、物品費を次年度に持ち越しした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Hypothalamic Neuronal Circuits Regulating Hunger-Induced Taste Modification2019

    • 著者名/発表者名
      Fu O, Iwai Y, Narukawa M, Ishikawa AW, Ishii KK, Murata K, Yoshimura Y, Touhara K, Misaka T, Minokoshi Y, Nakajima KI.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 10 ページ: 4560

    • DOI

      10.1038/s41467-019-12478-x.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Contribution of Individual Olfactory Receptors to Odor-Induced Attractive or Aversive Behavior in Mice2019

    • 著者名/発表者名
      Horio N, Murata K, Yoshikawa K, Yoshihara Y, Touhara K.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 10 ページ: 209

    • DOI

      10.1038/s41467-018-07940-1.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Analysis of primer pheromone in mice: ligand to the central action2019

    • 著者名/発表者名
      Ken Murata, Sayoko Ihara, Kazunari Miyamichi, Kazushige Touhara
    • 学会等名
      The 48th Naito Conference
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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