研究課題/領域番号 |
19K15966
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
渡辺 雄貴 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 助教 (50781788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発情行動 / エストロゲン受容体 / ロードシス |
研究実績の概要 |
家畜受胎率の低下要因の一つに、微弱発情や無発情などの発情行動の異常が挙げられる。発情行動発現の脳内メカニズムは、これまで神経核全体の刺激・破壊による研究が主流であったが、その詳細については未だ不明な点が多い。 本研究の目的は、哺乳類メスの発情行動発現の鍵を担う責任細胞の同定により、発情行動発現の神経内分泌メカニズムの詳細を明らかにすることである。具体的には、発情行動の発現に主たる役割を担う視床下部腹内側核においてエストロゲンと直接結合するニューロン種の同定、および視床下部腹内側核内での細胞と神経連絡し、中脳中心灰白質に軸索を延ばすニューロン種の同定を目指している。 今年度は、エストロゲン受容体と直接結合する候補因子の1つであるニューロペプチドBの脳室内投与法を確立することでき、また、その実験によりニューロペプチドBの新たな機能としての、発情行動とも関連ある末梢ホルモン(プロラクチンおよび黄体形成ホルモン)分泌への影響を明らかにすることができた。またニューロペプチドB受容体のNpbwr1遺伝子の染色を行い、脳内での発現部位を現在解析中である。今後は、ニューロペプチドBが発情行動へ及ぼす影響の解析を中心におこない、ニューロペプチドB以外の候補因子の発現解析も進めていく。さらに、新たに遺伝子改変マウスを購入し、視床下部腹内側核において発情行動時に活性化する因子を同定に向けたリン酸化S6蛋白質の免疫沈降をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、新しい研究環境に異動し、実験設備のセットアップや飼育スペースの確保など多くの時間を割いたが、エストロゲン受容体と直接結合する候補因子の1つであるニューロペプチドB(NPB)の脳室内投与法を確立することできた。また、その実験によりNPBの新たな機能としての、発情行動とも関連ある末梢ホルモン(プロラクチンおよび黄体形成ホルモン)分泌への影響を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、NPB受容体の局在解析の完了および、NPBの脳室内投与による発情行動へおよぼす影響の解析を中心に進めていく。さらに、新たに遺伝子改変マウスを購入し、視床下部腹内側核において発情行動時に活性化する因子を同定に向けたリン酸化S6蛋白質の免疫沈沈降をおこなう予定である。また、最終年度であるため、進行中の研究を完成させて、その成果を論文として国際雑誌への発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月開催予定の学術集会が、Covid19感染症拡大防止のため中止となり、国内出張旅費として計上した費用が未使用額となった(但し、一部は中止決定後に物品費として使用)。 未使用額は、繰越を行い研究試薬購入のための物品費として使用予定である。
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