研究課題/領域番号 |
19K15966
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
渡辺 雄貴 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 助教 (50781788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発情行動 |
研究実績の概要 |
家畜受胎率の低下要因の一つに、微弱発情や無発情などの発情行動の異常が挙げられる。発情行動発現の脳内メカニズムは、これまで神経核全体の刺激・破壊による研究が主流であったが、その詳細については未だ不明な点が多い。 本研究の目的は、哺乳類メスの発情行動発現の鍵を担う責任細胞の同定により、発情行動発現の神経内分泌メカニズムの詳細を明らかにすることである。具体的には、発情行動の発現に主たる役割を担う視床下部腹内側核においてエストロゲンと直接結合するニューロン種の同定、および視床下部腹内側核内での細胞と神経連絡し、中脳中心灰白質に軸索を延ばすニューロン種の同定を目指している。実験には、哺乳類のモデルとして、ラットを用いた。今年度は、一部計画を変更し、新たに導入したライトシート顕微鏡を用いた神経細胞投射先解析に向けて、脳の透明化と蛍光染色法の検討をおこなった。CUBIC法(Susaki et al., 2014)を用いて透明化した脳に、ニューロンマーカー蛋白質の蛍光免疫染色を行った。透明化し染色した脳をライトシート顕微鏡で観察、および撮影をおこない、既存のアプリケーションを用いて3Dイメージング画像を取得した。今後はこの手法を用いて、候補因子の投射解析に活用できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大により、大学の指針に基づき大学での滞在時間が減少したことなどにより、実験可能な時間が限られてしまったことが大きな要因である。 また、視床下部腹内側核において発情行動時に活性化する因子の同定に向けたリン酸化S6蛋白質の免疫沈降をおこなう予定であったが、当該実験に必要な遺伝子改変マウスを入手できていないことも遅れた要因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、候補因子の発現解析および局在解析をおこなう。また、視床下部腹内側核において発情行動時に活性化する因子を同定に向けたリン酸化S6蛋白質の免疫沈沈降をおこなう予定である。今年度が最終年度であるため、進行中の研究を完成させて、その成果を論文として国際雑誌への発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
また予定していた学会が中止もしくはオンライン開催となったので旅費としての支出がかなり抑えられた。未使用額は繰越を行い研究試薬購入のための物品費として使用予定である。
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