研究課題
若手研究
抗がん剤はがんの治療に広く使用されるが、がんの耐性獲得が問題となっている。本研究では生理活性を持つ脂質が、がん血管細胞からの抗がん剤排出を促進することで、抗がん剤耐性を上昇させることを明らかにした。マウスモデルを用いた検討で、この脂質の合成酵素の阻害薬や受容体の阻害薬は、抗がん剤の効果を増強しマウスに移植したがんの成長を抑制することも証明された。
薬理学
がんの耐性を解除することで、少ない量の抗がん剤で最大の薬効を発揮できると考えられる。そのため、抗がん剤耐性の解除法の研究は多く行われていたが、副作用や薬効に問題があるため実際に臨床で使用されているものはない。本研究では、脂質メディエーターの合成酵素を阻害することで抗がん剤の耐性が解除できることを示した。この合成酵素は末梢組織の中ではがんの血管の細胞に特異的に発現している。そのため、この酵素の阻害は、副作用が少ない抗がん剤の耐性を解除する新規の方法になる可能性が期待できる。