研究課題/領域番号 |
19K15990
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
草木迫 浩大 北里大学, 獣医学部, 助教 (10838220)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | マダニ / 人工吸血 / 人工膜の検討 |
研究実績の概要 |
本年度は、当初、マダニの吸血行動を誘発する抽出物の検討ならびに人工吸血系確立に必要な人工膜の厚みの検討を予定していた。マダニの吸血行動を誘発する抽出物については、現在、材料の確保を進めており、翌年度の早い段階で確実に実施する予定である。このため、人工膜の厚みの検討を主に進めた。 昨年度に海外産マダニの人工吸血系で使用されている装置の作製方法を習得するためにドイツのベルリン自由大学のアード博士を訪問した。その際、教授された材料、特に人工膜の作製に必須のシリコン剤を日本で揃えようとしたところ、日本では取り扱いが無いことが判明した。このため、代替品として日本で入手可能なシリコン剤を用いて人工膜作製の検討を行った。また、人工膜作製の際、レンズクリーンペーパー(LCP)またはゴールドビーターズスキン(GBS、ウシの腸管を叩いて展ばしたもの)を基本素材として、この素材にシリコン剤を混和したシリコンミックスを薄く伸ばし、人工膜を試作した。また、GBSを用いた人工膜を5枚、LCPのものを6枚それぞれ用意した。人工膜の厚さを測定するために人工膜[5 cm (縦) × 15 cm (横)]を縦に2等分・横を3等分し、6箇所の厚さを測定した。その結果、GBSは平均64 ± 21 μm (33 - 106 μm)であり、LCPは平均164 ± 31 μm (111 - 266 μm)であった。海外で用いられる人工膜の厚さが80 - 120 μm であることならびに日本産マダニが吸血に際して使用する口器の長さが海外産マダニ比べ短いことから、今回GBSを用いて作製した人工膜は日本産マダニを用いた人工吸血用の人工膜として有用であると考えられた。一方、今回用いたLCPは素材の厚さが厚かったことが推察されたため、素材についても検討を続けていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はマダニの吸血行動を誘発する抽出物の検討ならびに人工吸血系確立に必要な人工膜の厚みの検討を予定していた。しかし、マダニの吸血行動を誘発する抽出物の検討に際し、材料の確保が上手くいかず、実験が遅延している。それでも、材料は集まりつつあるため次年度の早い段階で検討を行う予定であるため全体の進捗としてはやや遅れていると自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、まず、マダニの吸血行動を誘発する動物被毛からの抽出物の検討を行う。さらに、今年度作成できた人工膜を用いて、実際に日本産マダニを用いた人工吸血系の検討を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、所属研究室を変更した関係でマダニを用いた実験を行えない状況であったため、これまでお世話になっていた鹿児島大学の田仲哲也教授や北海道大学の中尾亮准教授の元を訪れ、実験を遂行する予定であった。しかし、コロナ禍の拡大に伴う移動制限や所属する北里大学の方針で出張が難しい状況が続き、満足に研究を行えていない。このため、本年度に出張費として考えていた分を次年度に回し、研究の総括に向けた実験を行うための費用として次年度に持ち越すこととした。
|