過去のIBD8症例、同地域で飼養される健常な褐毛和種牛208頭について病理組織学的検索を実施したところ、健常牛の約3割の脳にもIBD様の封入体が認められた。IBDで認められる封入体はSOD1の免疫染色に陽性であったが、これらの個体にSOD1遺伝子変異は認められなかった。封入体を有する健常牛の脳とIBD発症牛の脳とに組織学的な差異はほぼ認められなかったが、RNA-seqにより封入体を有する健常牛ではミトコンドリア関連分子の有意な発現上昇が認められたことから、これらの封入体はミトコンドリアの異常ないしSOD1の異常凝集による病的意義のある変化であることが示唆された。
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