研究課題/領域番号 |
19K15997
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
合屋 征二郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (20836887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 犬 / 麻酔 / 低血圧 / 心血管機能 / 昇圧薬 / 僧帽弁閉鎖不全症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は実験的に僧帽弁閉鎖不全症犬を作成し、圧容量曲線解析を用いて様々な昇圧薬が心血管機能に与える影響を解明することである。実験犬を用いた研究では新型コロナウイルスによる研究施設の使用禁止が続いたため、私の代わりに実験を遂行してもらう人物に実験手技を教えた。正常犬は4頭まで実施できたが、実験手技に不慣れなため目標とする6頭に届かなかった。4頭までの結果として正常犬へのエフェドリンボーラス投与は心収縮能を上昇させるが血管抵抗を大きく変化させずに血圧を上昇させること、一方フェニレフリンボーラス投与は心収縮能を変化させずに血管抵抗を上昇させて血圧を上昇させることが明らかとなった。したがってエフェドリンは1回拍出量が上昇するがフェニレフリンは上昇しないことがわかった。 また昨年度までに4つの臨床研究結果が完成し論文投稿まで進んでいる。研究1では犬と猫に対するエフェドリンの効果の違いを後ろ向きに調査した。研究2ではアトロピンの有無によるエフェドリンの効果の違いをエフェドリン0.05 mg/kgと0.1 mg/kgの2つの投与量で前向きに調査した。研究3ではフェニレフリンが正常犬と僧帽弁閉鎖不全症犬の血圧に及ぼす影響を後ろ向きに調査した。研究4では正常犬におけるピモベンダンの麻酔前投与が麻酔による心収縮能低下を改善するものの、低血圧を助長することを明らかにした。昨年度、研究2と研究3は102回日本獣医麻酔外科学会オンライン学術集会にて、研究4は103回日本獣医麻酔外科学会オンライン学術集会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響で当該研究施設に入室できず、リモートで実験を行うための人員教育に時間がかかった。しかし無事に実験はリモートで可能となり現在大きな問題なく実行中である。メインの実験研究は予定より遅れているが、その代替として調査した臨床研究では貴重な知見が解明され、「どのような症例にどのような昇圧薬を選べばよいか」という本研究課題の解決への糸口となっている。また、これらの臨床研究結果を実験研究結果が裏打ちしつつあり、研究全体としては概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は臨床研究結果の論文投稿を行う。また実験研究はリモート作業が可能となったので正常犬と僧帽弁閉鎖不全症モデル犬の実験を終了させることを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる前々年度の遅れのため、論文投稿が当初の予定より半年から1年ほど遅れてしまった。したがって論文投稿費用や英文校閲のための費用として次年度使用額が発生した。
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