アイメリアによる鶏コクシジウム症は、鶏に対して血便などの症状を引き起こし問題となる。近年、原虫に共生するウイルスはその宿主への病原性に関与しているとの報告がなされた。アイメリアにも共生ウイルスが存在するとされるが、存在割合などは明らかになっていない。そこで、本研究では、日本の鶏に寄生するアイメリアにおいてFLDS法(Fragmented and primer Ligated dsRNA Sequencing)を用いた解析により鶏アイメリアの共生ウイルスを明らかにすることを目的とした。 前年度に、2つの農場においてオーシストを一個一個採取し、Eimeriaの種同定およびEBV-1の存在を調査した。その結果、EBV-1はE. brunettiだけでなく、E. tenellaやE. acervulinaにも存在していることが明らかとなった。 今年度は、同じ農場から採取された糞便から精製されたオーシストにおいて、共生ウイルスがどの程度の割合で存在するのか調査をおこなった。 その結果、Eimeria brunettiにおいて、21オーシスト中10オーシストがEBV-1陽性、E. tenellaが5オーシスト中1個においてEBV-1陽性、E. acervulinaにおいて12オーシスト中1個がEBV-1陽性であった。従って、EBV-1陰性と陽性のオーシストが同じ農場に混在していることが明らかになった。従って、共生ウイルス陰性および陽性のオーシストが一羽の鶏の腸内に混在していることが示唆された。
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