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2021 年度 実施状況報告書

急性腎障害から慢性腎臓病への進展における再生尿細管の線維化促進メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16009
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

松下 幸平  国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (60777796)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード急性腎障害 / 慢性腎臓病 / 虚血再灌流障害 / CD44
研究実績の概要

これまでに腎虚血再灌流障害モデルラットを用い、急性腎障害(AKI)から慢性腎臓病(CKD)に至る過程において、再生機構の破綻した尿細管にCD44が特異的に発現すること、さらにその発現はAKI直後から線維化が生じるまで持続することを明らかにした。よってCD44はAKI to CKDの病態において何らかの役割を担っていると考えられた。そこで本年度はマイクロアレイおよびパスウェイ解析を行い、CD44の病態生理学的役割について検討した。
前年度に線維化病変内の尿細管をレーザーマイクロダイセクションにより採取してマイクロアレイを行った。そのデータを用いてパスウェイ解析を実施した結果、CD44は線維化に関連する遺伝子群の発現を誘導していることが示唆された。CD44の下流因子のうち細胞外基質であるfibronectinをコードするFn1に着目してin situ hybridizationおよび免疫染色を行った。その結果、Fn1 mRNAは再生機構の破綻した拡張/萎縮尿細管の細胞質において発現の亢進がみられた一方、fibronectinタンパクはそれらの尿細管の周囲の間質に認められた。これらの現象はAKI直後からCKDに至るまで観察された。これらの結果は再生機構の破綻した尿細管はAKIからCKDに至る過程においてfibronectinを産生・分泌していることを示唆するものと考えられた。
以上より、CD44は再生機構の破綻した尿細管において細胞外基質の分泌能獲得に寄与しており、AKIからCKDへの移行に早期から関わっていることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AKI to CKDにおけるCD44の病態生理学的役割の一端を明らかにすることができたため、上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

これまでの結果から、再生機構の破綻した尿細管はAKI直後から間葉系細胞の性質を有していることが考えられたため、上皮間葉転換関連因子の発現について検索し、その特徴をさらに詳細に観察する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品の納品が遅れたものもあり、また新型コロナウイルス感染症の影響により参加予定の学会がすべてweb開催となり、旅費の使用も少なかった。

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公開日: 2022-12-28  

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