乳牛性選別精液は、経産牛での受胎率が低いことが問題となっている。その要因として、封入精子数が大幅に少なく、また選別による精子へのダメージが報告されている。そこで、深部注入器を用いた人工授精において、精子の運動性に関与するミトコンドリアへの保護効果があると報告されているレスベラトロールを同時注入することによって、精子運動性や子宮内膜遺伝子発現への影響および受胎率について検討した。検討の結果、レスベラトロール注入により、精子運動性が長く維持されるとともに子宮内膜における炎症性サイトカイン(IL-1β)の遺伝子発現が抑制されることが明らかとなった。受胎率については、影響が認められなかった。
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