研究実績の概要 |
昨年度までに、雌カニクイザルES細胞株において、始原生殖細胞(PGC)マーカー遺伝子(TFAP2C)と後期生殖細胞マーカー(VASA)の発現領域下でEGFPおよびtdTomatoを発現するレポーター株(TFAP2C-EGFP, VASA-tdTomato)を作製していた。この細胞を起点としヒト卵原細胞様細胞誘導系に倣い、カニクイザル生殖細胞の誘導を試みた。具体的には、カニクイザルPGCLC(TFAP2C-EGFP+)と雌のマウス胎児((Embryonic day)E12.5)生殖巣由来の体細胞で構成された細胞塊を作製、長期培養した(以下、再構成卵巣法とする)。しかし、これだけでは卵原細胞様細胞(TFAP2C-TGFP+, VASA-tdTomato+)は得られても、それより先の生殖細胞(TFAP2C-RGFP-, VASA-tdTomato+)の誘導には不十分であった。 本年度は、カニクイザル始原生殖細胞様の細胞(PGC-like cell, PGCLC)から発生した卵原細胞様細胞の分化をさらに進めるため、再構成卵巣法の改善に取り組んだ。その結果、卵原細胞以降の細胞(TFAP2C-EGFP-, VASA-tdTomato+)と思われる細胞を得ることができた。現在、この細胞の性状を確認している。今後、性状解析により分化段階が確定すれば、成熟卵子へ向けて分化誘導するための培養条件の決定に取り組む予定である。
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