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2020 年度 実施状況報告書

日本発ゲノム編集ツールによるin vivoゲノム改変研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K16025
研究機関東京大学

研究代表者

吉見 一人  東京大学, 医科学研究所, 講師 (50709813)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードCRISPR-Cas3 / ゲノム編集 / マウス / 受精卵
研究実績の概要

CRISPR-Cas9の発展により遺伝子改変動物が簡単に作製できるようになった一方、オフターゲットの影響やモザイク個体の作出などの技術的問題や知的財産の問題点がある。我々は新規ゲノム編集ツールType I-E CRISPR-Cas3システムを開発し、ヒト培養細胞の標的配列に変異を導入できることを発見した。本研究課題では、改良型のCRISPR-Cas3を作製し、マウス・ラットの受精卵および生体組織で変異導入効率を検討することで、生体におけるType I-E CRISPR-Cas3の変異パターンの解明とゲノム編集ツールとしての有用性を証明する。
当該年度は、これまで開発したCRISPR-Cas3発現プラスミドおよびmRNAについて受精卵に導入してノックアウトマウスおよびラットの作出を試みた結果、特定の条件下でノックアウト動物を作成することに成功した。また活性を有するCRISPR-Cas3タンパク質の合成にも成功した。CRISPR-Cas3タンパク質はプラスミドやmRNAに比べて導入と同時に効果を示し、また毒性も低いと考えられるため、in vivoゲノム編集に有用であると考えられる。そこで現在、これらを用いて更なる条件検討、最適化を行っている。
また組織特異的ゲノム編集を目指し、全身臓器を標的とする血清型AAV9を用いた CRISPR-Cas3発現AAVベクターを作成した。発現が低い問題が見られたため、現在、再設計を行い、再度AAVベクターの構築を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、新規ゲノム編集ツールCRISPR-Cas3の高効率in vivoゲノム改変法の確立を目指し、マウス・ラットを対象に実験を行うことを目的としている。昨年度の第一の目標である、マウス・ラット受精卵を用いた高効率ゲノム改変研究について、既にC57BL/6マウスおよびF344ラットにおいて複数回実施し、ノックアウトマウスの作製に成功した。ただし、更なる条件検討が必要であり、現在実施中である。また、第二にCRISPR-Cas3を用いた組織特異的ゲノム編集研究についてAAVベクターを作成したが、発現量低下に伴う活性の減少が見られたため、現在再設計を行っている。
また昨年度11月から本研究課題の計画を発展させるために採択された国際共同研究強化(A)の課題を遂行するため、スイスに長期出張中である。そのため本研究課題の期間内での遂行が難しくなったため、延長申請を行い、2021年度も継続して実施し、目標を達成する予定である。

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続いて受精卵や生体組織といったin vivoで効率的に機能させるため、複数遺伝子を標的としてマウスおよびラット受精卵に導入して発現パターンおよび変異導入効率を検討する。またCRISPR-Cas3タンパク質の合成にも成功しており、同様の検討を進める。In vivoにおけるゲノム編集評価については、再設計を実施しているCRISPR-Cas3を含むAAVベクターを作成し、マウスへ静脈投与して変異導入効率を検討する。他の血清型、Tet-onシステムとの組み合わせについても順次検討し、各臓器において最適なin vivoゲノム編集法を確立する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度11月から本研究課題の計画を発展させるために採択された国際共同研究強化(A)の課題を遂行するため、スイスに長期出張中である。そのため本研究課題の期間内での遂行が難しくなったため、延長申請を行い、2021年度も継続して実施し、目標を達成する予定である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Chemokine ligand 28 (CCL28) negatively regulates trabecular bone mass by suppressing osteoblast and osteoclast activities2021

    • 著者名/発表者名
      Iwamoto Rina、Takahashi Takumi、Yoshimi Kazuto、Imai Yuji、Koide Tsuyoshi、Hara Miroku、Ninomiya Tadashi、Nakamura Hiroaki、Sayama Kazutoshi、Yukita Akira
    • 雑誌名

      Journal of Bone and Mineral Metabolism

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00774-021-01210-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ゲノム編集技術CRISPR-Cas3とそのCAR-T細胞療法への応用2021

    • 著者名/発表者名
      藤井智明、吉見一人、真下知士
    • 雑誌名

      バイオエクス・プレス 2021 冬

      巻: - ページ: 28-32

  • [雑誌論文] Photoactivatable Cre knock-in mice for spatiotemporal control of genetic engineering in vivo2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshimi Kazuto、Yamauchi Yuko、Tanaka Takao、Shimada Toshio、Sato Moritoshi、Mashimo Tomoji
    • 雑誌名

      Laboratory Investigation

      巻: 101 ページ: 125~135

    • DOI

      10.1038/s41374-020-00482-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Combi-CRISPR: combination of NHEJ and HDR provides efficient and precise plasmid-based knock-ins in mice and rats2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshimi Kazuto、Oka Yuichiro、Miyasaka Yoshiki、Kotani Yuko、Yasumura Misato、Uno Yoshihiro、Hattori Kosuke、Tanigawa Arisa、Sato Makoto、Oya Manami、Nakamura Kazuhiro、Matsushita Natsuki、Kobayashi Kazuto、Mashimo Tomoji
    • 雑誌名

      Human Genetics

      巻: 140 ページ: 277~287

    • DOI

      10.1007/s00439-020-02198-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ゲノム編集技術CRISPR-Cas3とその遺伝子治療および診断への応用2020

    • 著者名/発表者名
      藤井 智明, 吉見 一人, 真下 知士
    • 雑誌名

      実験医学(増刊)新規の創薬モダリティ

      巻: 38(17) ページ: 2841 - 2846

  • [雑誌論文] 国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3の開発2020

    • 著者名/発表者名
      吉見 一人
    • 雑誌名

      遺伝子医学

      巻: 10(4) ページ: 16 - 21

  • [雑誌論文] 新規ゲノム編集ツールCRISPR-Cas32020

    • 著者名/発表者名
      吉見 一人, 真下 知士
    • 雑誌名

      Precision Medicine

      巻: 3(6) ページ: 512 - 515

  • [雑誌論文] CRISPR-Cas3を用いた新しいゲノム編集2020

    • 著者名/発表者名
      吉見 一人, 真下 知士
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 273(9) ページ: 751 - 755

  • [学会発表] Development and applications of CRISPR-Cas3 technology for studying human diseases2021

    • 著者名/発表者名
      吉見一人
    • 学会等名
      第85回日本循環器学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3の開発と応用2021

    • 著者名/発表者名
      吉見一人
    • 学会等名
      第14回ラットリソースリサーチ研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 国産ゲノム編集技術の開発と新型コロナウイルス診断への応用2020

    • 著者名/発表者名
      吉見一人
    • 学会等名
      令和2年度第2回応用動物科学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] NBRP-免疫不全ラットと支援プラットフォームの概要2020

    • 著者名/発表者名
      服部 晃佑、 山内祐子、星 美穂、Jinxi Wang、吉見一人、真下知士
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ゲノム編集技術CRISPR-Cas3とそのCAR-T細胞療法への応用2020

    • 著者名/発表者名
      藤井智明、吉見一人、玉田耕治、真下知士
    • 学会等名
      第20回東京大学生命科学シンポジウム
  • [産業財産権] Cas3タンパク質を製造する方法2021

    • 発明者名
      真下知士、吉見一人、竹下浩平、山本雅貴、渋村里美
    • 権利者名
      真下知士、吉見一人、竹下浩平、山本雅貴、渋村里美
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2021-031907
  • [産業財産権] 試料中の特定のDNAを検出する方法2021

    • 発明者名
      真下知士、吉見一人、渋村里美
    • 権利者名
      真下知士、吉見一人、渋村里美
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2021/002372
    • 外国

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公開日: 2021-12-27  

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