研究課題/領域番号 |
19K16026
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡村 永一 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教 (30755913)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 雌雄産み分け / CRISPRイメージング / dCas9 |
研究実績の概要 |
昨年度までにdCas9-EGFPを用いたCRISPRイメージングシステムにより、マウスES細胞とマウス受精卵内においてテロメア領域をライブイメージングすることに成功している。本年度はより低コピーの領域を可視化するため、さらなる技術の改良を図った。具体的には、蛍光タンパク質を標的領域に効率よく集積させる新規システムを構築し、機能評価を行った。
まず、マウスES細胞を用いて検証を行った結果、従来よりもさらに明瞭にテロメア領域を標識可能であることを確認した。さらに従来法では明確な標識が困難であったメジャーサテライト(MaS)領域とマイナーサテライト(MiS)領域を可視化することに成功した。次に、マウス受精卵においてイメージングを実施した結果、MaSとMiS領域を標識することが出来た。一方で、そのシグナルはテロメア領域と比較して弱かった。また、イメージング後の受精卵をマウス卵管に移植したところ、イメージング時のダメージが大きいためか、産仔を得ることは出来なかった。そのため現在、より高感度にシグナルを得られるよう、さらなる改良を進めているところである。
また、カニクイザル培養細胞におけるCRISPRイメージングを施行した。まずは樹立したカニクイザル培養細胞のうち、正常核型をもつ培養細胞株を選別した。次に、複数の遺伝子導入試薬を用いて効率的な遺伝子導入法を確率した。上述の改良型CRISPRイメージング法を用いてテロメア領域のイメージングを試みたところ、明瞭なシグナルを得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は改良型のCRISPRイメージングシステムを用いることで、従来よりも低コピー数のゲノム領域を可視化することに成功した。また、今年度はカニクイザル培養細胞を用いた試験に着手し、良好な結果を得た。このように本研究課題の達成に向けて着実に成果は得られている。一方で、本研究課題は当初2年間で完遂する予定であったが、3年間へと延長せざるを得なかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
より高感度にゲノム領域を標識出来るよう、CRISPRイメージング法のさらなる改良を進める。具体的には蛍光タンパク質を標的領域にさらに集積させることと、バックグランドを低減させる工夫を施す。 これまでと同様に、まずは正常核型を保持するマウスES細胞で評価を行ったのち、受精卵での検証に移行する。 また、スピニングディスク型共焦点顕微鏡を用いることで、これまでよりも受精卵に対してダメージの少ない蛍光観察を行い、イメージング後の発生率向上を期待する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主に試験管内(in vitro)試験に比重をおいて解析を実施した。そのため、生体内(in vivo)試験用に確保していた予算の残が生じた。来年度は生体内試験の割合が高くなるため、有意義に活用する予定である。
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