生後から離乳まで、産みの親以外のメスマウス間を毎日移動しながら育った仔マウスの身体的発達、および、不安やうつ様行動など行動特性を調べたところ、いずれの項目においても影響は認められなかった。しかし、毎日の里親交換に加え、尾へ外傷を受けたマウスは、体重増加の遅延を示した。特に、メスにおいて顕著であった。また、これらのマウスは、成熟後の社会性行動が変化し、血中コルチコステロン値は高い値を示す傾向にあった。以上の結果から、特定の親が不在である環境そのものは、仔の発達へ影響しないが、仔のストレス脆弱性を構成する環境要因となり得る可能性を見出した。
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