最終年度は脳活動MRIの計測および解析の確立を行った。12か月齢ではまだ体格は大人と比べて小さいことから、開発した覚醒下脳活動MRI用の固定具がフィットせず体動が大きくなる恐れが高いことがわかった。そのため成体で体格が同等となる18か月齢より脳活動MRIの計測を開始したところ問題なく実施できた。経時的に撮影できるか確認するため、成体個体で半年後再度短期間で馴化訓練を行い2度目の計測を行ったところ成功した。 撮影した脳活動データを用いて通常個体の大域の脳活動ネットワークを明らかにするため脳活動解析の検討を行った。MRI解析に最適化された脳アトラスの脳領域間の機能結合性を計算して領域間のマトリックスを作成する手法を試みたが、手綱核、脚間核は非常に小さい領域のため本来の位置よりずれる可能性が高まる。そのため脳アトラスを用いらない手法である、独立成分分析を用いた解析を行った。検討結果から後帯状皮質、頭頂間溝野、背外側前頭前野で賦活が認められ、マーモセットの先行研究と同様にデフォルトモードネットワークが評価出来る可能性が示唆された。 研究期間全体としては、手綱核-脚間核回路を評価するために、まず構造MRIを実施し領域の同定を行うためのプロトコールを確立した。また組織切片を作成するための検討をおこなった。またげっ歯類をも用いてDREADDによる神経操作を行うための手術の検討を実施した。一方マーモセットを用いてはMRIによる脳発達の評価を行い、脳体積の変化は当初想定していた24ヶ月より更に長期にわたって続くことが明らかになった。また脳活動評価を確立するため覚醒下による脳活動MRIを確立した。実施期間に着手および確立した手法を元にマーモセットにおいてDREADDによる神経操作の手技を確立することで大局の脳活動ネットワークを基準とした評価を実施することが可能となった。
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