研究課題/領域番号 |
19K16033
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
山口 碧 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術支援センター, 基盤技術研究職員 (20593643)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミトコンドリアDNA / ミトコンドリアDNA量 / マウス |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアDNA (mtDNA) は細胞内に環状多コピーゲノムとして存在し、その量は適切に保たれ、ミトコンドリア機能を健全に維持することが理解されている。mtDNAは生理的環境変化に伴って、その量が変動することが知られているが、本研究ではmtDNA量およびその合成系、分解系の活性の概日リズムによる変動とその生理的意義を個体レベルで明らかにすることを目的として実験的検証を行なっている。これまでに、研究代表者はマウスから経時的に採取した特定組織のmtDNA量およびmtDNA複製関連遺伝子の発現が時間依存的に変化していることをqPCR法、RT-qPCR法を用いて明らかにした。また、CRISPR/Cas9システムを用いた時計遺伝子欠損マウスの作製を目的として、昨年度に引き続き、gRNAの設計と標的配列の切断効率の評価を行なった。in vitro transcriptionで調整した候補gRNAをCas9タンパク質と共にマウス前核期受精卵にエレクトロポレーション法にて導入した。体外培養によって胚盤胞期胚まで発生させた後、標的配列の切断効率を確認した結果、設計したgRNAは十分な切断効率を有することがわかった。次に、RNP複合体をエレクトロポレーション法にてマウス前核期受精卵に導入し、二細胞期胚まで発生させた後、偽妊娠雌マウスの卵管内に移植した。現在、仮親の出産を確認しており、得られた産仔の離乳後にPCRとシークエンス解析による標的遺伝子の編集成否の確認を行い、時計遺伝子の発現解析をRT-PCR法、ウェスタンブロット法等により試みる予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に準じて時計遺伝子のノックアウト (KO) マウスの作製を試みているが、作製後の分子生物学的解析が当初の計画よりやや遅れていると判断した。今年度実施予定であった当初の研究計画を次年度で遂行できるよう、早急に研究計画の再検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
産仔の離乳後、時計遺伝子欠損マウスの解析を実施し、より詳細な分子機構を究明し、生理的意義に迫る。また作製したKOマウスは系統保存の目的で凍結胚・精子として適宜保存する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響等で実験規模を縮小したため実験計画に遅れが発生したが、既にCRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集マウスの作製を開始しており、次年度には時計遺伝子欠損マウスが得られると考えている。これにより関連試薬・消耗品等に変更があり、次年度使用額が生じた。次年度使用額と翌年度分として請求した助成金を合わせて使用し、次年度研究実施計画に基づき研究を実施する。
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