研究課題/領域番号 |
19K16044
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
藤原 圭吾 京都産業大学, 総合生命科学部, 研究助教 (10814907)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リボソーム / 翻訳アレスト / 新生鎖の動的挙動解析 |
研究実績の概要 |
枯草菌のMifMはC末端付近まで合成されると、自身を合成するリボソームと相互作用して翻訳アレストを起こす。そしてMifMのN末端にある膜挿入シグナルがYidC依存的に膜組込されると、その時に生じる物理的な力によって翻訳アレストが解除される。この翻訳アレストの解除を通して、MifMは翻訳と共役した膜挿入を感知している。 本研究はこのMifMの機能を応用し、膜組込に限らない新生鎖の動的挙動をプロテオームワイドに同定することを目的としている。本年度は、トランスポゾンを用い、翻訳アレストを起こすMifMアレスト配列とLacZとの融合遺伝子(フォースレポーター)を枯草菌染色体DNAにランダムに転移させ、フォースレポーターのN末端側に融合した時に翻訳アレストを解除できるタンパク質配列を500以上同定した。得られたタンパク質配列の一部について変異解析を行い、分泌タンパク質や膜タンパク質とフォースレポーターとの融合遺伝子については局在化シグナルに依存して翻訳アレストが解除されること、そしてその解除がSecトランスロコンに依存していることを確認した。また、bL25と5S rRNAの相互作用や、σFとSpoIIABのタンパク質複合体の形成によっても翻訳アレストが解除されることを確認した。これらのことから、フォースレポーターとトランスポゾンを用いた本研究のスクリーニング手法により、膜透過や膜組込、複合体形成を含む多様な新生鎖の動的挙動を捕捉できることがわかってきた。一方でスクリーニングはプロテオーム全体を網羅するに至らず、よりハイスループットなスクリーニングの系が必要であることがわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りフォースレポーターとトランスポゾンを組み合わせたスクリーニングを行い、フォースレポーターの翻訳アレストを解除できるタンパク質配列を多数得ることができた。予想通り分泌タンパク質や膜タンパク質とフォースレポーターの融合遺伝子が多く取れてきたことから、本スクリーニングシステムの有効性が確認できた。また得られた融合遺伝子の一部について変異解析を行い、膜透過や膜組込、タンパク質複合体形成といった新生鎖の動的過程が翻訳アレストを解除することを示す結果が得られた。特にσFとSpoIIABのタンパク質複合体形成による翻訳アレストの解除はin vivoとin vitroの両方で確認でき、転写因子の抑制が翻訳と共役している可能性が示唆された興味深い結果となった。これらの成果から研究は順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで用いていたフォースレポーターは枯草菌MifMとLacZの融合遺伝子であり、翻訳アレストが解除された場合にb-galactosidase活性が上昇する。このフォースレポーターを含むトランスポゾンを染色体DNAに転移させ、X-galを含むプレート上で青くなるコロニーから翻訳アレストを解除できるタンパク質配列を500以上同定してきた。しかし、現時点でスクリーニングはプロテオーム全体を網羅できておらず、よりハイスループットなスクリーニングの系を構築する必要がある。そのため、LacZのかわりに抗生物質耐性遺伝子を利用したセレクション方法を確立し、さらにトランスポゾン挿入位置を網羅的に同定するために次世代シーケンサーを利用した手法の導入を試みる。
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