転写不活性なゲノム領域であるヘテロクロマチンは主にH3K9メチル化により修飾されており、その異常はがん、不妊、精神疾患など様々な病気との関連が報告されている。本研究ではH3K9メチル化の制御機構を調べるため、哺乳類に5種類あるH3K9メチル化酵素をそれぞれ欠損させたマウス胚性幹細胞におけるH3K9メチル化状態、遺伝子発現、核内高次構造を解析した。その結果、H3K9メチル化は核内の区画により異なるセットのH3K9メチル化酵素で制御されること、H3K9メチル化の欠乏はヘテロクロマチンの空間配置を変化させることがわかり、H3K9メチル化と核内高次構造は互いに制御し合うことが明らかとなった。
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