生きた細胞内は極めて高濃度に生体分子が込み合った環境であるため、核酸の立体構造やダイナミクス、相互作用が試験管内とは異なっていると考えられている。本研究では、細胞内の核酸分子のNMRスペクトルを取得するin-cell NMR法により、 (1)ヒト生細胞内においてDNA三重鎖構造が形成可能である直接的な証拠をしめした。また、(2)ヒト生細胞内においてはグアニン四重鎖構造のG-G塩基対が試験管内よりも高頻度で開裂していることを明らかにした。さらに、(3) RNAアプタマーと標的分子との相互作用をヒト生細胞内において検出した。これにより核酸in-cell NMR法の有用性を示した。
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