低分子量G蛋白質Rasは、GTP加水分解反応過程を通して細胞増殖や生存維持に係る細胞内シグナル伝達を制御する分子スイッチとしての機能を担う。本研究ではRasを標的とした新規がん治療薬開発にむけた基盤的知見を収集するために、光制御可能なcaged-GTPを用いて、X線自由電子レーザー施設SACLA、大型放射光施設SPring-8、並びに核磁気共鳴(NMR)分光法を駆使することで、RasのGTP加水分解反応過程の動的構造情報を取得した。その結果、Rasの構造ダイナミクスが活性制御メカニズムを巧みに制御している可能性を見出した。
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