研究課題/領域番号 |
19K16063
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
木吉 真人 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 研究員 (60754314)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クライオ電子顕微鏡 / Fcγ受容体 / 抗体IgG |
研究実績の概要 |
本研究では、溶液中の生体分子の構造を高い解像度で観察できるクライオ電子顕微鏡を用いて、抗体-FcγR複合体、及びα chain-γ chain複合体の高次構造解析を行い、FcγRへの抗原抗体複合体の結合から、どのように細胞内ドメインへと情報が伝えられ、細胞の活性化が起きるのかを明らかにすることにより、FcγRを介した免疫細胞活性化の分子メカニズムの解明を目指す。 当該年度は、まずIgGと複合体を組むFcγRの選別を行った。大腸菌を用いて発現したFcγRIIIaよりも、FcγRIの方がIgGに対する親和性が高いため、より適していることが分かった。IgGとFcγRI複合体の精製方法の確立を行った。精製したFcγRI-IgG複合体を用いて、ネガティブ染色により、分子の凝集性、安定性を確認した。FcγRIとIgG複合体の像が確認できた。FcγRI-IgG複合体を用いて、クライオ電顕の単粒子解析を試みたが、サンプルが凝集しており、撮像できなかった。今後は、より詳細な安定性評価及び凝集性評価を行い、クライオ電顕測定に適した条件の検討を行う。 併せて、α chain及び、γ chainのそれぞれ大腸菌での発現系の構築を行った。Western Blottingを用いて発現を確認したが、精製が困難であった。現在は、精製タグの変更を中心としたコンストラクトの再構築を行っている。精製を行った後、ナノディスクを用いて、cell-free系での膜結合型FcγRの構築を行う。クライオ電子顕微鏡を用いて、構造情報を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネガティブ染色により、分子の凝集性、安定性の確認を行ったが、クライオ電顕の単粒子解析ではサンプルが凝集しており、撮像できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
FcγRI-IgG複合体について、更に詳細に安定性評価を行い、単粒子解析に適した条件の検討を行う。また、添加剤の検討を行い、より安定性を高めるような条件の検討を行う。さらに、α chain及び、γ chainのコンストラクトの再構築を行い、ナノディスクを用いて、cell-free系での膜結合型FcγRの構築を行う。クライオ電子顕微鏡を用いて、構造情報を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で実験が進まず、必要な試薬を買い控えたため。次年度は繰り越し額と合わせて使用する予定である。
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