Parkinはユビキチンリガーゼ(E3)であり、変異によって若年性パーキンソン病の発症に繋がる。膜電位の低下したミトコンドリア表面で、Parkinは活性化し、ミトコンドリア外膜タンパク質のユビキチン化を触媒する。活性制御メカニズムは細胞生物学的解析や立体構造解析によって理解されてきた一方で、触媒メカニズムには不明な点が残されている。本研究では、生化学的解析やX線結晶構造解析によって、Parkinの触媒機構を理解することを目的とした。初年度に行ったParkinのユビキチン連結酵素活性を観察できるE2の構造情報を整理して、E2との相互作用に必要な残基を探索した。また、ParkinとE2-Ubの結合を検出することができた。E2との共結晶は、単体のみの結晶しか得られておらず、追加で複数のE2を試したが、複合体状態の結晶を得ることができなかった。海外グループがE3とE2-Ubの三者複合体をクロスリンクするプローブを開発しており、更に複合体を安定化できる方法が必要となる可能性が生じてきた。一方で、細胞内ではParkin依存的にK6鎖、K11鎖、K48鎖、K63鎖という複数のユビキチン鎖を生じることが知られている。ParkinはRING2ドメインが活性中心であり、Zinc fingerフォールドを取る。立体構造の観点から精査するとParkinのRING2ドメインと類似の構造をもつユビキチン認識タンパク質があり、ユビキチン認識残基の比較検討を行った。
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