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2019 年度 実施状況報告書

アミノアシルtRNAを標的とする毒素の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K16069
研究機関東京大学

研究代表者

八代 悠歌  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任研究員 (40836483)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードトキシン・アンチトキシン / tRNA / X線結晶構造解析
研究実績の概要

バクテリアのトキシン・アンチトキシンは、細胞の生育を抑制することで栄養飢餓や抗生物質の暴露などのストレス環境下において細胞の生存を促進する。近年新しく見いだされた、GNATファミリーに属するアセチル基転移酵素のトキシンは、アミノアシルtRNA上のアミノ酸のαアミノ基をアセチル化することにより、翻訳阻害を引き起こす。興味深いことに、このファミリーのトキシンには、バクテリアの種や株により、アミノアシルtRNAに対する特異性の異なるトキシンがみつかっている。本研究では、大腸出血性大腸菌において同定された、開始メチオニルtRNAを標的とするGNATトキシンAtaTについて、アセチル化した開始メチオニルtRNAとの複合体結晶構造解析、及び生化学的解析により、AtaTによる特異的な基質認識と反応触媒における分子基盤の解明を図った。構造解析の結果、AtaTと開始メチオニルtRNAの結合様式が明らかになった。また、生化学的解析により、AtaTが開始メチオニルtRNAと伸長メチオニルtRNAを識別する際の認識部位を明らかにした。さらに、AtaTを発現した大腸菌におけるアミノアシルtRNAを解析し、細胞内においてAtaTにより標的とされるtRNA種を明らかにした。本成果について現在論文投稿準備を進めている。またAtaTとは異なる基質特異性を持つ大腸菌HS株のGNATトキシンItaTについて、単体の構造解析と細胞内における標的アミノアシルtRNAの解析を行った。その結果、ItaTがこれまでに報告されていたよりも、より多くのアミノアシルtRNAを標的とすることを明らかにした。また、構造解析と変異体ItaTによる大腸菌の生育阻害の解析により、ItaTが疎水性のアミノ酸結合ポケットを通してアミノアシルtRNAのアミノ酸の構造を識別する可能性が示唆された。本成果は論文として公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の通り、研究計画に従って構造解析や生化学的解析を行い、GNATトキシンによる基質認識と反応触媒のメカニズムを明らかにできつつある。よって概ね研究計画の通りの進捗が得られている。

今後の研究の推進方策

次年度も当初の研究計画に従って研究を進める。これまでに、GNATトキシンAtaTと開始メチオニルtRNAとの複合体結晶構造解析を行い、AtaTと開始メチオニルtRNAとの結合様式が明らかになった。しかしながら、現在までに得られた回折データでは分解能が低く、原子レベルでの基質認識メカニズムを議論するには不十分である。したがって本年度は、結晶化条件の改良等を行い、分解能の向上を目指す。また、構造解析の結果をもとにAtaTへ変異を導入して試験管内での酵素活性の評価を行い、AtaTによる開始メチオニルtRNAの認識機構をさらに検証する。加えて、アンチコドンに変異を導入したtRNAを用いてnon-cognateなアミノ酸を結合したアミノアシルtRNAを調製し、アセチル化活性を評価することにより、GNATトキシンがアミノアシルtRNAを認識する際のアミノ酸部位の寄与を調べる。また、得られた研究成果について論文として発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

端数が生じたため次年度へ繰り越しとなった。
次年度の予算使用は当初の使用計画に従う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Crystal structure of the enterohemorrhagic Escherichia coli AtaT-AtaR toxin-antitoxin complex2019

    • 著者名/発表者名
      Yuka Yashiro, Kozo Tomita
    • 学会等名
      第21回日本RNA学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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