研究実績の概要 |
エクソソームは癌を含む様々な細胞から放出される細胞外小胞の一つで、タンパク質やDNAを含んでいることからリキッドバイオプシーの新たな標的とされている。タンパク質翻訳後修飾の一つである糖鎖もエクソソーム最外殻を覆っておりその標的とされるが機能を含めた全貌は未だ明らかとされていない。医療応用ツールとしてエクソソームを活用するには、糖タンパク質・ゲノムをはじめ包括的に理解する必要がある。また、エクソソームには様々な亜型が存在し、多様な機能を構成する。これらを理解するためにはマルチオミクス解析によるアプローチが有効であると考えられる。従って本研究課題は、疾患特異的糖鎖をもつエクソソームを同定し、ゲノム解析とのマルチオミクス解析からより詳細な解析を目的とする。 まず、エクソソーム表層糖鎖解析のため、レクチンマイクロアレイを用いたエクソソーム表層比較糖鎖プロファイリング法を確立した。膵臓癌培養細胞を用いて、培養上清中分泌糖タンパク質、エクソソーム、細胞ライセートを比較したところ、各細胞株はエクソソーム固有の糖鎖を持つことが示された。更にエクソソームサブポピュレーションにおける比較糖鎖解析法も確立した。本法の確立により、これらエクソソームは各エクソソームマーカー (CD9, CD63, CD81) に応じて、その糖鎖構造も異なることが示された。
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