研究課題/領域番号 |
19K16084
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池崎 圭吾 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10722960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超解像顕微鏡 / 一分子計測 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、細胞内において一分子レベルでタンパク質の構造動態を計測するために、蛍光一分子計測顕微鏡法に超解像顕微鏡法の原理(構造化照明法)を応用することで計測精度を飛躍的に向上させ、タンパク質の動的構造変化の実時間計測の実現に向けた研究を行っている。 本年度は超解像顕微鏡の原理検証のため単色励起による顕微鏡システムの立ち上げを行った。本研究予算により新規に導入した低重心光学系により高い安定性(振動安定性・時間安定性)を持つ光学システムの構築に成功した。また、ナショナルインスツルメンツ社製のPXIシステムをベースとして本計測に用いるピエゾステージ・ガルバノミラー・シングルフォトンカウンティングモジュール等のすべての計測および制御機器の同期制御システムの構築も順調に進捗しており、原理検証に向けて必要なデータ収集を順次進めている。これまでに得られたデータを基に独自の解析アルゴリズムを構築し理論限界に近い位置推定精度を実現できていることが確認できた。これにより従来の全反射顕微鏡型の1分子計測システムに比べて約100倍の光子利用効率が達成が確認された。ただし、最大効率を実現するためには更なる条件検討が必要であることも明らかとなった。 現在、長時間のリアルタイム計測に向けてリアルタイムフィードバックシステムの調整を進めている。また、更なる計測効率向上に向けてより良い推定方法の検証や光学システムの検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り原理検証のための顕微鏡システムの開発は順調に進んでおり、超解像顕微鏡として十分な精度が得られることが確認できた。また、ハード面だけでなく計測システムや解析アルゴリズム等のソフト面についても順調に構築が進んでいる。 ドーナツ型照明光を作成に使用していた位相変調板(ボルテックスフェーズプレート)に原因不明の歪み(メーカーも対処不可)が生じてしまい使用できなくなる問題が発生してしまったが、代案として考えていた空間光変調器を導入することにより無事に解決し、研究遂行に大きな支障はきたしていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に推移しているため当初の計画通り進めていく予定である。 まずは、これまでに構築した顕微鏡をもちいて計測が容易な精製系での一分子追跡実験を行う。その結果を基にリアルタイムフィードバックの各制御パラメータを調整する。次に、実際に細胞内で一分子計測を行い試験管内の結果と比較して細胞内独自の生命現象を明らかにする。そして、検出系を多波長に対応させることにより分子内動態計測を行う。 さらに、励起光成型のための光学素子をボルテックスフェイズプレートから空間光変調器に変更したことにより、3次元計測への応用も可能となった。そこで3次元計測に向けたシステム開発を行い、より高度な生命現象の解明にも取り組んでいきたい。
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