研究実績の概要 |
本研究では、蛍光性FNDを細胞センシングに応用するために、高い均一性・分散性・細胞透過性を有するFNDを作成することを目的とする。本年度は研究計画に従い、粒子径が均一かつ球形なFNDの調整、FNDの高分散化、自発的に細胞内に移行する効果的な表面化学修飾法の確立に関する研究を実施した。 KNO3を550℃の高温で加熱すると液化し、この液化したKNO3は強い酸化力を持ち、FNDの角を削り取ることができ、この工程はエッチングと呼ばれる。粒子系が100nmのFNDに対して、500-600度、10-60分の条件でエッチングを行った結果、500度60分の条件で最も球形度が高いFNDを作成できることを明らかにした。高分散化に関しては、すでに確立された手法(Sotoma et.al., Nanomaterials, 2016)で良好な結果が得られた。また手法をさらに発展させ、カルボキシ基、アミノ基、アルキン基などの官能基をシングルポットで導入する合成法の開発にも成功した。さらに高度な機能化を目指し、ラジカル重合反応を応用し、FND表面のPDMAEMA: Poly(N,N-dimethylaminoethylmethacrylate)コーティング法を開発しており、赤外分光法、動的光散乱法、熱重量損失、ゼータ電位などの計測から合成の成功を確認している。またPDAMAEMAはカチオン性を有していることから、FNDに高い分散性を与えるのみならず、細胞内への移行性を高めることも期待できる。HeLa細胞にFND-PDMAEMAを添加、培養し、その後共焦点顕微鏡でFNDの取り込みを評価した結果、未修飾のFNDと比較してFNDの取り込みが大幅に改善していることが明らかとなった。
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