本研究では、新奇微生物型ロドプシンの分子特性の解析と改変(基礎的研究)を通じて、動物細胞や個体における様々な生命現象を光操作する新奇ツールの開発を開拓することを目指す。そのため、交付申請書に記載した実験計画に沿って、「微生物型ロドプシン分子特性の解析と改変」、「微生物型ロドプシン分子の利用、動物細胞・個体への適用」を進めてきた。 「微生物型ロドプシン分子特性の解析と改変」に関しては、(1)古細菌由来の新規内向きプロトンポンプロドプシンの同定と機能解析、(2)光駆動性アニオンチャネル・ACR1のレチナール近傍に3つのアミノ酸変異を導入することで、吸収波長が40nm長波長化し、かつチャネル開時間が大幅に延長化した性質を示す新規光駆動性アニオンチャネルの作成に成功した。 「微生物型ロドプシン分子の利用、動物細胞・個体への適用」に関しては、(1)外向きプロトンポンプ型ロドプシンをヒト神経細胞・がん由来細胞に発現させ、光依存的にアポトーシス経路を駆動し、細胞死を制御することに成功した。以上のように、分子の解析と利用に成功し、これまでの成果は原著論文(J. Phys. Chem. Lett.誌、Sci. Rep.誌)として発表した。
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