研究課題/領域番号 |
19K16108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関 真秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (90749326)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | トランスクリプトーム / ナノポアシークエンス |
研究実績の概要 |
ナノポアシークエンサーによりRNA分子の直接のシークエンス(direct RNA-Seq)が可能となった。本研究課題は、ナノポアシークエンサーによるRNAの全長シークエンスと核酸アナログによるラベリング法を組み合わせることにより、RNA代謝計測のための新規手法を開発するものである。2019年度中に、別のグループから、direct RNA-Seqと核酸アナログを用いた本研究と同様のコンセプトの論文がプレプリントリポジトリに発表されたために研究計画の変更を余儀なくされている。培養細胞株について、PromethIONを用いたdirect RNA-Seqデータを取得した。direct RNA-Seqでは、cDNA-Seqよりも出力されるデータ量や読み取り配列の正確性が低い傾向が確認された。インプットのRNA量もdirect RNA-Seqの方がcDNA-Seqよりも大量に必要であるため、経時的なサンプリングは比較的困難であった。そこで、より簡便にRNA代謝を測定する方法として、塩基置換を引き起こす核酸アナログとcDNA-Seqを組み合わせた新規手法の開発を進めている。3種類の核酸アナログ候補の試験管内転写を用いて予備的な検討を行った。そのうち、1種類については、細胞株でラベリングを行いRNAを取得した。 本研究の過程で情報収集したナノポアシークエンサーを用いたDNA及びRNAの修飾塩基の検出の技術的な進展について、Review論文として発表した(Xu and Seki. 2020)。また、direct RNA-seqやcDNA-Seqのデータから転写産物の全長構造同定について検討を行った結果について英語総説を発表予定である(Seki et al., Methods Mol. Biol. in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に、別のグループから、direct RNA-Seqと核酸アナログを用いた同様のコンセプトの論文がプレプリントリポジトリに発表された。そのため、研究計画の変更を余儀なくされて、当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
塩基置換を引き起こす核酸アナログとcDNA-Seqを組み合わることで、当初計画よりも簡便にRNA代謝を測定できる新規手法の開発を進めている。試験管内合成したRNAをシークエンスしたデータについて、核酸アナログにより誘導された塩基置換の評価を行う。また、細胞株を核酸アナログでラベリングし、既に取得済みのものを含めて、PromethIONでシークエンスを行いRNA代謝速度を測定する。解析に必要となる塩基置換検出のためのパイプラインや全長のcDNA-Seqからの転写産物構造の同定及びカウントを行うパイプラインについては、申請者が携わっている別の研究において構築済みのものを援用する。
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