研究課題/領域番号 |
19K16115
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
戸根 大輔 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (60806610)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 睡眠 / HTS |
研究実績の概要 |
本研究ではハイスループットなIn vitro睡眠解析系の構築を通して睡眠覚醒制御の分子ネットワークを解明することを目的とする。今年度は引き続き、安定した神経細胞の長期測定系および睡眠状態誘導系を構築するための検討を行なった。特に睡眠様状態誘導のための技術導入・開発にも力を入れた。現在、神経細胞の活動はカルシウム指示薬によりモニターしているが、長期間の測定では退色や細胞への毒性が懸念される。そこで神経活動の安定した長期測定実現のために、膜電位やカルシウムインジケーターを発現する遺伝子改変動物から調製した脳組織を利用する方法が想定される。遺伝子改変動物作製の際には、ES細胞に遺伝子改変を行なった後に、目的の細胞を単離して培養を行う必要があるが、このステップを簡便・高速化するためのデバイスを共同研究により開発することができた(Funano et al, 2020)。このデバイスを利用してES細胞からの動物作製が加速できると期待される。さらに後天的な遺伝子導入方法としてアデノ随伴ウイルス(AAV)の検討も昨年に引き続き進めた。神経細胞に遺伝子発現が可能なプロモーターなどの構成を検討し、十分な強度で遺伝子発現が可能な組み合わせを確立することができた。またAAVの精製方法についても検討を行なうことで、スループットよく精製度の高いAAVを十分量確保することが可能となった。これまでに同定された睡眠関連遺伝子をウイルスベクターに搭載し、発現実験の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、睡眠状態誘導系の構築および神経シグナルの長期測定実現のための技術導入・開発が進展した。一方で、COVID-19の影響で消耗品の確保が困難な状況もあり、中心となる測定系の構築がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に準備できたウイルスベクターによる遺伝子導入を進める。また膜電位やカルシウムインジケーターを発現する遺伝子改変動物の脳組織を利用する方法や、遺伝子改変ES細胞から神経系への分化誘導を行うことも引き続き検討する。入手困難な消耗品などについては、今後も状況に注意しながら代替法を検討するなど柔軟に対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、消耗品の入手が困難となり計画していた実験の一部を中止した。また学会参加を予定していたがキャンセルした。予定していた消耗品ほか実験用動物の購入のために次年度に合わせて使用する計画である。
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