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2020 年度 実施状況報告書

カルシウムイオン依存的な鞭毛構築機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16123
研究機関山梨大学

研究代表者

久保 智広  山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (70778745)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードクラミドモナス / 鞭毛 / 微小管 / 脱重合キネシン / kinesin-13
研究実績の概要

本研究は、二本の鞭毛を持つ単細胞緑藻類クラミドモナスを用い、カルシウムイオン依存的な鞭毛構築の仕組みを解明することを目的とする。先行研究から真核生物の鞭毛構築にはカルシウムが必須であることは分かっていたが、カルシウムイオンが鞭毛関連遺伝子の発現を調節するのか、あるいはどの鞭毛蛋白質に影響を与えて鞭毛構築を促進するのか、などの詳しい機構は不明である。去年度は、外腕ダイニン欠損株が鞭毛前駆体の構築に異常を持つこと、カルシウムイオンがその異常を補うことなどを見出した。鞭毛前駆体の構築がどのような分子によって調節されるかを解明するため、今年度は、鞭毛再生においてカルシウムイオンに影響を受ける鞭毛内輸送系や微小管の調節を担う蛋白質のリン酸化を明らかにしようと研究を進めた。
①カルシウムイオンがFLA8, FLA10、IFT46のリン酸化に与える影響の検討:上記、三種類の鞭毛内輸送系に関与する蛋白質はリン酸化の制御を受けることが知られる。変異株とそれらのレスキュー変異株、特異的抗体を用いて鞭毛再生中におけるリン酸化の度合い、カルシウムイオンがリン酸化に与える影響などを検証したが、残念ながら芳しい結果は得られなかった。
②鞭毛再生時における脱重合キネシンkinesin-13のリン酸化:鞭毛繊毛の軸糸は細胞質性微小管からフリーなチューブリンが供給されて形成されることが知られる。外腕ダイニン欠損株の鞭毛再生が遅延する原因とカルシウムイオンによって再生が促進される理由を探ってきたが、細胞質性微小管の調節が関与している可能性に気付いた。生化学的な実験を行って調べた結果、実際、外腕ダイニン欠損株においては脱重合キネシンkinesin-13のリン酸化が抑制されていることが分かった。現在はkinesin-13の活性がカルシウムイオンにどのような影響を受けるのかを詳しく検証している最中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要の欄で記したように、鞭毛内輸送系に関わる蛋白質のリン酸化の度合いを検証したが、芳しい結果は得られなかった。一方、細胞質性微小管の脱重合に関わるkinesin-13が重要であることが分かった。そのため、鞭毛再生時におけるkinesin-13による細胞質性微小管の脱重合の機構を解明するための下準備として以下の実験を行った。

1) kinesin-13の変異株作製
CRISPR/Cas9によって、ハイグロマイシン耐性遺伝子がkinesin-13のexon 1に挿入されたクラミドモナス変異株を作製することに成功した。現在はその変異株の解析を進めている。
2) kinesin-13-3xHA改変株の作製
CRISPR/Cas9によって、内在性のkinesin-13のC末端に3xHAタグを付けた株を作製した。タグ抗体を用いてWestern blotを行ったところ、鞭毛再生に応じてリン酸化を示すバンドのシフトが検出できることが分かった。

今後の研究の推進方策

最終年度は脱重合キネシンkinesin-13の活性がカルシウムイオンの影響を受けるかどうか、外腕ダイニン欠損株でkinesin-13の機能が抑制されている可能性を調べる。Kinesin-13の活性とリン酸化の度合いにどのような相関があるのかを検証する。そのために、変異株、タグ付きの蛋白質発現株を用いて、生化学的な解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

初期の研究計画においてはトランスクリプトーム解析を行う予定であったが、その必要が無くなったこと、また、国際会議に出席する予定であったが、中止になったことなどが理由で次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Diffusion rather than intraflagellar transport likely provides most of the tubulin required for axonemal assembly in Chlamydomonas2020

    • 著者名/発表者名
      Craft Van De Weghe Julie、Harris J. Aaron、Kubo Tomohiro、Witman George B.、Lechtreck Karl F.
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: 133 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1242/jcs.249805

  • [雑誌論文] TIM, a targeted insertional mutagenesis method utilizing CRISPR/Cas9 in Chlamydomonas reinhardtii2020

    • 著者名/発表者名
      Picariello Tyler、Hou Yuqing、Kubo Tomohiro、McNeill Nathan A.、Yanagisawa Haru-aki、Oda Toshiyuki、Witman George B.
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 15 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0232594

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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