真核細胞内に存在するオルガネラは個々が特化した機能を発揮するだけでなく、お互いが物理的に極めて近接した領域(接触領域)をもち、接触領域を介して協調的に働いていることが分かってきた。その一方で、様々なオルガネラ間の接触領域を形成し維持する分子機構や生理的な意義については不明な点が多い。本研究では新規に開発したオルガネラ接触領域へ特異的に局在する人工タンパク質を、近接標識法と組み合わせた新たな手法を用いて、特に不明な点が多いペルオキシソームとミトコンドリア、ペルオキシソームと小胞体という2つの接触領域の形成を担う因子の同定を試みる。 本年度は、昨年度までに作成を試みたペルオキシソーム-小胞体接触領域、ペルオキシオーム-ミトコンドリア接触領域に局在する人工タンパク質について、その局在の再検討と最適化を行った。 今後は、標識されたタンパク質を単離回収し、質量分析によって、2つの接触領域に特異的なタンパク質の網羅的な同定を行う。そして、得られたタンパク質群からペルオキシソーム-小胞体接触領域、ペルオキシオーム-ミトコンドリア接触領域の形成に関与する繋留分子の同定を行う予定である。
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